日経グッデイ

あの人のカラダマネジメント術

TRF SAMさんに教わる 年齢に負けない体つくる5つのストレッチ

カリスマダンサーのカラダマネジメント術(2)

 高島三幸=ライター

2019年1月に57歳になり、今もステージ上でキレキレのダンスを披露するTRFのSAMさん。彼が習慣化している、体幹を強化し、瞬発力や持久力の向上にもつながる最強のストレッチとはどんなものだろうか? そのいくつかを教えてもらった。

TRFのSAMさんが提案するストレッチ法の一つ「リズム屈伸」
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前回「TRF SAMさん 57歳で若者に負けない動きができる理由」では、50代後半の今も踊り続けられるのはストレッチのおかげであり、ストレッチは柔軟性を高めるだけでなく、体幹を強化し、瞬発力や持久力を向上させるとおっしゃっていました。具体的にはどのようなストレッチをされているのでしょうか。

SAMさんが教えてくれた5つのストレッチ

【リズム屈伸】

SAMさんがお勧めする、瞬発力や持久力の向上につながるストレッチとは?
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 1つは「リズム屈伸」という、ふくらはぎ、もも(大腿部)が鍛えられ、瞬発力も身につくストレッチです。自分自身が年齢を経て、足腰の衰えを感じるようになってから意識して始めました。

 動きは簡単で、好きな曲を聴きながら、リズムに合わせて屈伸するだけです。曲のテンポは、120~125BPM(BPMはBeats Per Minuteの略で「1分間の拍数」のこと。120BPMは1秒間に2拍打つこと)が良いですが、TRFの曲で言えば、「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」「survival dAnce ~no no cry more~」がお勧めです。

 やり方は、次の通りです。

1

両足を肩幅に開いて立ち、両手は下に下ろす。肩に力を入れずにリラックスして立つ。「1(いち)、2(にい)、3(さん)、4(しい)」と声に出し、拍の頭(「いち」の「い」、「にい」の「に」など)で膝を曲げて腰を落とす。

2

拍の裏(「いち」の「ち」、「にい」の「い」など)で膝を伸ばして軽くかかとを引き上げ、上に伸び上がる。この沈んで伸び上がる屈伸の動きを「1、2、3、4」のテンポに合わせて30秒から1分間ほど繰り返す。その際、おなかはへこませ、お尻の上に上半身を乗せるイメージを持つといい。

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この「リズム屈伸」はどのようなことに気を付けて行えばいいでしょうか?

 腰が抜けておなかやお尻が前や後ろに出っ張らないようにしてください。姿勢をまっすぐ保ちながら屈伸することで、初めて体幹が鍛えられるからです。テンポは先ほど話した通り120~125BPMが良いですが、最初はもっとゆっくりのテンポでやってもいいでしょう。このリズム屈伸の動きを、僕は4~5分間続けます。一般の方なら30秒から1分も続ければ、ももやふくらはぎに効いてくるでしょう。体幹も鍛えられますし、筋持久力もつく。リズムに合わせて行うのでリズム感も身につくはずです。

【つま先立ちスクワット】

 2つ目の運動は、「つま先立ちスクワット」です。これは通常のスクワットよりも体幹が強化されます。

 「つま先立ちスクワット」の方法は、次の通りです。

記事で紹介しているストレッチの多くは著書(つま先立ちスクワットの写真参照)中でも紹介
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1.

両足をそろえて立ち、両手は真上に伸ばし、両手指を絡ませて、手のひら側が上を向くようにする。このとき、背骨の一つ一つの間に隙間が開くイメージで、グッと伸びをするのがポイント。

2.

1の状態でかかとを上げ、つま先立ちになる。

3.

そのままゆっくり膝を曲げる。お尻がかかとにつくぐらいまで曲げたら、膝を伸ばして2の状態に戻る。23を3~5回程度繰り返す。お尻がかかとにつかない人は無理せずできる範囲で膝を曲げるようにする。かかとはできるだけ上げたままがよいが、厳しい場合は3で膝を曲げきった後に、一度床につけてもOK。

著書『年齢に負けない「動ける体」のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)より
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 このスクワットを僕は10回ほど繰り返します。こうしたスクワット運動はバランスを保つのが難しいので、体幹に効くんです。下っ腹に力を入れておなかが出ないようにすればバランスを取りやすくなり、腹部と腹部の体幹もよく鍛えられます。

【腹筋】

 体幹を鍛えるには「腹筋」も効果的です。僕自身、腹筋と腕立ては日課にしているくらいです。

 「腹筋」の方法は、次の通りです。

1

背中を下にして寝そべり、頭に手を添えて、背中と腰を床にぴったりと付ける。両足は肩幅に開いて軽く曲げる。

2

上体を起こし、へそのあたりを見たら元に戻る。これを30回繰り返す。

 寝そべったときに背中と腰がぴったり床に付くよう心がけることがポイントです。やり方が悪いと腰を痛めたりするので、腰に負荷がかからないよう気を付けてください。

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【片足カーフレイズ】

 4つ目はふくらはぎを鍛える「片足カーフレイズ」を紹介します。

 「片足カーフレイズ」の方法は、次の通りです。

1

壁から1メートルほど離れて立ち、肩幅分ほど開いた両手を壁に垂直に付け、床に対して体が斜めになるようにする。

2

片方の足裏を床に付け、もう片方の足は軽く膝を曲げて床から浮かす。

3

床に付けたほうの足をつま先立ちにし、かかとを最大の高さまで上げたら停止し、ゆっくりと床に下ろしてしっかりアキレスけんを伸ばす。片足ずつ10回ほど繰り返す。

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 このとき、体が壁から離れるほどアキレスけんがしっかり伸びますが、アキレスけんを痛めないよう注意しながら、最初は無理のない姿勢で行ってください。また、ふくらはぎは、「第2の心臓」といわれ、下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをしています。ふくらはぎの筋肉が凝り固まって血流が滞ると全身の血流が悪くなり、新陳代謝も悪くなるといわれているので、新陳代謝を良くするためにもふくらはぎを鍛えることは大事だと思います。

【壁プッシュ】

 5つ目は、上半身を鍛え瞬発力が上がる運動「壁プッシュ」を紹介します。腕部と胸部を鍛えて上半身のキレを増すトレーニングです。

 「壁プッシュ」の方法は、次の通りです。

1

壁から1メートルほど離れて壁を向いて直立し、両手を壁に向けて伸ばす。

2

体を壁側に倒して、両手をしっかり壁に付ける。足と壁との距離が離れているほどキツくなるが、その分筋トレ効果もアップ。ただ、無理はせず自分のできる範囲の位置に立つ。

3

腕立て伏せをするようにグッと腕を曲げ、壁をプッシュする。

4

そのままの勢いに乗って壁から両手を放す。ボーンとバウンドするように反動を利用して、直立状態に戻る。壁を押すときの反動を利用しながら、これを10回ほど繰り返す。

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 壁プッシュをするとき、グッと下っ腹に力を入れ、お尻を締めることで体幹への効果が高まります。壁を押すときには両手でしっかりプッシュするように心がけましょう。

 今回は比較的、簡単な動作を紹介しましたが、僕の著書『年齢に負けない「動ける体」のつくり方』では、今紹介した「リズム屈伸」「つま先立ちスクワット」「壁プッシュ」のほか、よりダンスの要素が入っているストレッチも紹介しており、それぞれの動きを動画でも確認できます。ダンスの要素が入ったストレッチは、複雑な動きを行うので、脳の活性化にもつながると思います。

舞台でベストパフォーマンスを発揮するために、このような体を鍛えるストレッチ法を欠かさずやっていらっしゃいますが、睡眠や食事など、それ以外にも気を付けていることはありますか?

 疲労を軽減するには睡眠が重要だと思います。でも僕はショートスリーパーで、4、5時間も寝れば十分なんですよ。昔から6時間以上寝ることができなくて、それでも疲労は軽減されている気がするので、おそらく睡眠が深いのだと思います。それに床でもどこでもすぐに眠れるんです、隙間時間の10分、20分とか。それが仮眠になっているのかもしれません。

 入浴も湯船には入るけど5分くらいだし、マッサージもライブの前後にトレーナーさんに調整してもらうくらい。食事も赤身の肉を取ることを意識しているくらいでしょうか。特別なことは何もしていません。世の中には食事など様々な健康法がありますが、やはり何よりも、体を動かすことが大事なのではないかなと僕は思います。

(「カリスマダンサーのカラダマネジメント術(3)」に続く)

【カリスマダンサーの体マネジメント術】

第1回 TRF SAMさん 57歳で若者に負けない動きができる理由
第2回 TRF SAMさんに教わる 年齢に負けない体つくる5つのストレッチ
第3回 TRF SAMさん 「80歳でも気軽にダンス楽しめる世にしたい」

(写真 鈴木愛子)

SAM(サム)さん
ダンスクリエイター、ダンサー
SAM(サム)さん 1993年TRFのメンバーとしてメジャーデビュー。コンサートのステージ構成をはじめ、アーティストの振り付けやプロデュースも行う。自ら主宰するダンススタジオでもレッスンを行う。2016年にダレデモダンスを設立、代表理事に就任。子供から高齢者まで誰もが親しみやすいダンスを広めている。新著に『年齢に負けない「動ける体」のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)。