マインドフルネスは食事でもできる 瞑想と同じ効果
東海大・川田医師が提案する30~40代で身に付けたい健康習慣(4)
二村高史=フリーライター
30歳を過ぎたら身に付けたい健康習慣を、東海大学医学部の川田浩志教授に教えていただくシリーズの最終回。「野菜」「ナッツ、ヨーグルト」「運動(HIITトレーニング)」に続いて川田教授がお薦めするのは、メンタル面の健康維持や脳のアンチエイジングに効果が期待できるマインドフルネスの実践だ。マインドフルネスといえば「瞑想(めいそう)」を思い浮かべるが、必ずしも瞑想を行う必要はないという。どういうことだろう。
マインドフルネスでメンタル面の健康を守る

「食事」「運動」と並ぶ大切な健康習慣として、東海大学医学部内科学系血液・腫瘍内科の川田浩志教授が挙げるのは「メンタル面の健康維持のための習慣」だ。
「むしろ、3つの健康習慣のなかで、メンタル面の健康維持は最も重要な要素といってよいかもしれません。なぜなら、メンタル面がしっかりしていないと、食事をきちんととれないし、運動をする気にもならないからです」
それでは、メンタル面の健康維持のためには、何をすればよいのだろうか。川田教授が薦めるのは「マインドフルネス」の実践だ。
マインドフルネスについては、最近になってテレビや雑誌で紹介される機会が増えたので、耳にしたことがあるかもしれない。本サイトでも「ジョブズ、琴奨菊も実践!『マインドフルネス』ってどんな効果があるの?」などで何度か紹介している。
マインドフルネスとは、瞑想の手法を活用して自分の精神をコントロールするもので、「今」に集中することを主眼としている。具体的な方法については後述するが、実践することで「今」に集中できるようになるため、過ぎたことをくよくよと悔やんだり、まだ起きていないことに心を煩わせることがなくなるなどの効果が期待できる。
そのほか、マインドフルネスの効用として挙げられるのは、抑うつ症状の解消や、ストレスからの解放、集中力の向上、身体感覚を関知する能力の向上、情動を調整する能力の向上などだ。なかでも、川田教授が注目するのは「メタ認知能力」の向上である。
「メタ認知能力とは、自分や他人の思考や感情の動きを対象化して、一歩引いて客観的に捉えて理解する能力のこと。この能力が向上すると心に余裕が生まれ、人間関係がスムーズになり、生産的な行動ができるようになると考えられます。だからこそ、米国の企業の研修でマインドフルネスが積極的に導入されているんです」(川田教授)
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