60代は感染率50%! なぜピロリ菌で胃がんになるのか?
強酸性の胃の中で生き、炎症を起こす仕組みとは?
二村高史=フリーライター
なぜ高齢者ほどピロリ菌感染率が高いのか。上村先生は、こう説明してくれた。
「ピロリ菌に感染しているかどうかは、その人が幼いころの衛生状態に関係があります。ピロリ菌の感染ルートは水であるとされ、上下水道が完備していなかった時代に生まれた人は、ピロリ菌に感染している可能性が高いのです。しかも、いったん胃の中にすみ着くと、除菌しない限り、まず駆除はできません。そのために、現在60代以上の人の感染率が高いのです」(上村先生)
衛生環境が悪い開発途上国の中には、現在でも若い人のピロリ菌感染率が高い国もある。上村先生によると、衛生環境の整った現代の日本では、自然界にピロリ菌は見つからず、人間の胃の中にしか存在していないとのことだ。