ここ数年で「胃」を取り巻く病気の常識が、根底から覆されている。これまで多くの人の命を奪い、「死の病」であった胃がんが、簡単に防ぐことのできる「感染症」に変わりつつある。そのキーワードは「ピロリ菌」だ。
驚くべきことに、胃がんの原因の99%はピロリ菌だという。2013年にピロリ菌除菌の保険適用が広がった後、胃がんによる死亡者は減少のペースが速まった。胃の健康を保つには、何よりもまずピロリ菌対策をするのがとても重要だ。今回は、そうした胃の病気に関する新事情について、独立行政法人国立国際医療研究センター理事・国府台病院長の上村直実先生にうかがった。