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中野ジェームズ修一の「遠回りしない体メンテ術」

もはや女性が「筋トレしない理由」はない

女性が運動するコツは、男性とはどう違う?

 松尾直俊=フィットネスライター

 体の健康を保ち、いつまでもパワフルに働くには、正しい運動と食事、そして休息のバランスが取れた生活が必要だ。そこで、著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さんに、遠回りしない、結果の出る健康術を紹介してもらおう。今回は、女性が健康のために運動するなら、筋トレが欠かせないという話題だ。

運動する女性はよく見かけるが、データの上では…

筋トレをする女性は増えたが… (c)dolgachov-123RF

 健康意識の高まりとともに、スポーツクラブに通う人や、街中でウォーキングやジョギングで汗を流している人をよく見かけるようになった。特に目立つのは女性だ。

 「女性が公園でウォーキングしたり、スポーツクラブで筋トレに励んだりしている姿をよく目にします。女性のほうが健康に対する意識が高いのかなと感じていますが、厚生労働省のデータによると、実は女性のほうが男性よりも運動習慣のある人の割合は少ないのです」とフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは言う。

 厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」(2017年)によると、運動習慣のある女性の割合は、20代で11.6%、30代で14.3%、40代で16.1%、50代で23.9%。どの世代においても、男性よりも低い。ここでいう「運動習慣」とは、週に2回以上、1回30分以上の運動をすることを指す。

運動習慣のある人の割合
運動習慣のある女性は、20代で11.6%、30代で14.3%、40代で16.1%、50代で23.9%。いずれの世代も男性より割合が低い。(この場合、「運動習慣」とは、週に2回以上、1回30分以上の運動をすること)出典:厚生労働省『国民健康・栄養調査』(2017年)
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 「女性のほうが男性よりも運動習慣のある人の割合が低いのは、そもそも運動したことがあまりない、運動のやり方が分からないという女性が多いからかもしれません。学校の体育以外で体を動かしたことがないという人も少なくないでしょう」と中野さん。

「筋力不足」が原因で起こる不調は意外と多い

 男女問わず、社会人になってから運動するきっかけとしてよくあるのが、健康診断などで医師に「運動しましょう」と言われることだ。中野さんは、そこにニーズを感じ、医師からそう言われた人がやるべき運動をまとめた本、『医師に「運動をしなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)を出版した。

 「おかげさまで好評をいただき、多くの方が手にとってくださいました。この本は、男女に関係なく書いたつもりでしたが、どちらかというと男性のビジネスパーソンを想定読者としていました。ところが、購入者の内訳は、男性が4割、女性が6割だったのです。女性のほうが運動のやり方で悩んでいるのかもしれません」(中野さん)

中野ジェームズ修一著『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)

 そこで中野さんは、今度は女性向けに運動のやり方を解説した本を執筆した。それが『女性が医師に「運動をしなさい」と言われたら最初に読む本』(2019年7月11日発売)だ。

 「女性を対象とした本を書いた理由は、先ほども述べたように、女性のほうが運動習慣のある人が少なく、運動のやり方が分からない人が多いということ。それに加え、女性は男性に比べて筋肉量が少なく、それが体の不調のもととなっているので、症状別に筋トレのやり方を丁寧に解説する必要があったからです」(中野さん)

 今でこそ、スポーツクラブでダンベルやマシンを使って筋トレをする女性を多く見かけるようになったが、それでも「自分は十分に筋力がある」と思っている女性は少数派だ。一度も筋トレをしたことがないという女性もいるかもしれない。

 筋トレをしてメリハリのある体を作ろうという女性は間違いなく増えている。ただ、筋トレは、スタイルのためだけでなく、健康のためにも有効だ。

慢性的な肩こり、脚のむくみを解消するための筋トレ

 「女性の体の不調は、多くの場合、筋力不足が原因です。例えば、肩こり。肩や首の周囲に張りやコリを感じたとき、マッサージに行けば、血行が良くなって一時的には解消されるでしょう。ですが、筋力が不足している人は、自分の頭や腕を支えるために特定の筋肉が緊張状態になり、血行不良になりやすいので、頻繁に肩こりを繰り返してしまうのです」(中野さん)

 肩こりで悩んでいる人のためには、ペットボトルをダンベルの代わりに使って行う筋トレが書籍の中では紹介されている。ペットボトルの水の量を変えたり、大きさを変えたりすることで筋トレの負荷を調整できる。

慢性的な肩こりで悩んでいる人は、ペットボトルを使った筋トレで「三角筋」を鍛えよう。中野ジェームズ修一著『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』より。
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 そして、中野さんによると、意外なことに脚のむくみの悩みも、筋力不足が原因だという。

 「心臓から送り出された血液が、脚の静脈を流れて心臓へと戻るためには、静脈の周りで筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、ポンプの役割を果たすことが欠かせません。脚の筋力が弱っている人は、そのポンプの力が弱いので、脚がむくみやすくなるのです」(中野さん)

脚のむくみを解消するためには、「沈み込みの深いサイドランジ」を行う。コツは、最初にイラスト右のポーズで5秒間静止し、あえて一時的に血液を脚にうっ血させ、それからリズミカルにサイドランジを5回繰り返すことで、脚の筋肉によるポンプの効果を引き出すことだ。中野ジェームズ修一著『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』より。
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 脚のむくみを解消する運動として、書籍では「沈み込みの深いフロントランジ」や「沈み込みの深いサイドランジ」が紹介されている。まず、フロントランジやサイドランジの姿勢で5秒静止し、あえて一時的に血液を脚にうっ血させ、それからフロントランジやサイドランジを素早く5回繰り返す。「これにより、脚の筋肉のポンプの効果を引き出すことができます」(中野さん)

 それに加え、ふくらはぎや太ももなどの筋肉を下半身の筋トレで鍛えることで、慢性的な脚のむくみを解消することができる。

 「かつては、『筋トレをすると脚や腕が太くなるから嫌です』という女性が少なからずいました。しかし今では、スタイルのためだけでなく、健康のために筋トレをすることが当たり前になってきました。筋トレをしても、女性は男性ホルモンが少ないので、いきなりムキムキになることは絶対にありません。安心して筋トレに取り組んでもらいたいと思います」(中野さん)

(イラスト:内山弘隆)

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中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんやバドミントンのフジカキペアなど、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。東京・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」の技術責任者を務める。『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)などベストセラー多数。最新刊は『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)。
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