人間ドックの施設選び、3つのチェックポイント
第5回 最新鋭の機器で病気の発見率が上がることも
梅方久仁子=ライター
人間ドックを実施する医療機関はたくさんあり、料金やメニュー設定もさまざま。いざ、受診しようと思い立ったとき、どのような基準で施設を選べばよいのだろうか。三井記念病院総合健診センター特任顧問で日本人間ドック学会副理事長の山門實氏(足利工業大学看護学部長)の話を基にまとめる人間ドック特集。第5回(最終回)は、施設選びの3つのポイントを聞いた。
第2回 人間ドックのがん検診、オプション選びのコツ
【肺がん・胃がん】
第3回 人間ドックのがん検診、オプション選びのコツ
【大腸がん・乳がん・前立腺がんほか】
第4回 メタボが気になる人はドックで調べておきたい、
脳と循環器系の状態
第5回 人間ドックの施設選び、3つのチェックポイント
ポイント1◆オプションで自分が受けたい検査を受けられるか
人間ドックの施設選びの第1のチェックポイントは、自分が受けたいオプション検査を実施しているかどうかだ。日本人間ドック学会の認定施設なら、原則として基本検査項目はどこでもほぼ同じだが(第1回参照)、どのようなオプション検査を実施しているかは、施設によって異なる。

例えば基本検査項目では、胃がんの検査として上部消化管X線造影検査(いわゆるバリウム検査)を実施すればよいことになっているが、できれば上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けておきたい(第2回参照)。そうなると、内視鏡検査を実施している施設を選ぶ必要がある。
ほかにも、肺がんのリスクが高い人は胸部CT検査、動脈硬化のリスクが高い人は動脈硬化ドックなど、受けたい検査によって施設を選ぶ必要があるだろう。このとき、名称は同じ動脈硬化ドックでも、実施する検査項目は施設によって少しずつ異なることがあるので、その点も確認しておきたい(オプション検査の選び方については、第2回、第3回、第4回を参照)。
最新鋭・低線量の機器かどうかもチェック!
同じ検査項目でも、使用する検査機器によって診断精度や放射線被ばく量が異なることがある。
例えば、胸部CT検査を受けたいと思ったとき、低線量CTの設備がある施設を選べば、通常のCT検査よりも放射線被ばく量を低く抑えることができる。
また、脳ドックなどで使われるMRI・MRAは、磁場強度1.5テスラで撮影するのが一般的だが、より磁場の強い3.0テスラで撮影できる設備を備えた施設もある。
「頭部MRIとMRAは、1.5テスラあれば海馬の容積を判断できますし、十分精度が高いと言えるでしょう。ただ、1.5テスラの頭部MRAでは未破裂動脈瘤が見つかる比率は3%くらいですが、3.0テスラなら7%の人に発見されます。磁場が強いとより高精度の画像を得られるので、より小さい病変でも発見できるからです」と山門氏。ただし「3.0テスラは磁場が強いので、心臓ペースメーカーなど体内に鉄を使用している人は、より注意を払う必要もあります」(山門氏)。