動脈硬化ドックや脳ドックは受けるべき?
第4回 メタボの人は調べておきたい血管の老化度、認知症は一歩手前で見つける!
梅方久仁子=ライター
人間ドックのオプションにはどんな検査があって、何を基準に選べばいいのか。三井記念病院総合健診センター特任顧問で日本人間ドック学会副理事長の山門實氏の話を元に、がん検診についてまとめた第2回、第3回に続き、第4回では、脳と循環器系、そして認知症やロコモティブシンドロームのオプション検査についても紹介しよう。
第2回 人間ドックのがん検診、オプション選びのコツ
【肺がん・胃がん】
第3回 人間ドックのがん検診、オプション選びのコツ
【大腸がん・乳がん・前立腺がんほか】
第4回 メタボが気になる人はドックで調べておきたい、
脳と循環器系の状態
第5回 人間ドックの施設選び、3つのチェックポイント
【動脈硬化ドック】
メタボや喫煙者では血管の老化度を要チェック!
がん検診以外の人間ドックのオプション検査として、最近増えてきているのが動脈硬化ドックだ。
動脈硬化とは、高血圧や高血糖、高コレステロールなどが原因で、血管が老朽化して硬く脆くなった状態のこと。血管がボロボロになると、古くなったゴムホースと同じように、詰まったり裂けたりしやすくなる。血管内にはコレステロールが溜まり、隆起物(プラーク)ができてくる。プラークが破裂するなどして脳の血管が詰まると脳梗塞、心臓に血液を供給する冠動脈が詰まると狭心症や心筋梗塞になる。いずれも、生命にかかわる重大な病気だ。
日本人の死因の第1位はがんだが、心筋梗塞を中心とする心疾患は2位、脳卒中(脳梗塞や脳出血)を中心とする脳血管疾患は4位といずれも高い水準だ。これら動脈硬化性の病気を防ぐためには、自分の動脈硬化の状態を調べて、治療や生活習慣の改善などにつなげていく必要がある。
「動脈硬化が起こりやすいのは、肥満やメタボリックシンドロームの人、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病のある人、喫煙者、家族歴(遺伝的素因)がある人です。こうした人たちには特に動脈硬化ドックをお勧めします」と山門氏は言う。
メタボリックシンドローム(メタボ)は、偏った食生活や運動不足によって内臓脂肪がたまり、高血圧や糖尿病、脂質異常症(およびその一歩手前の状態)に陥った状態だ。メタボやメタボ予備群を放置していると動脈硬化が進み、やがては脳梗塞や心筋梗塞につながっていく。
自分がメタボ・メタボ予備群かどうかは、健康保険組合などが実施する特定健康診査・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)でわかる。職場の定期健診がメタボ健診を兼ねていることも多い。日本人間ドック学会が定める人間ドックの基本検査項目にも同様の検査が含まれているため、もしメタボ健診を受け損ねても、人間ドックを受診すれば大丈夫だ。
人間ドックでは、基本検査項目にある2方向からの胸部X線撮影で、動脈硬化になると起こりやすい心臓の肥大、胸部大動脈の拡張、胸部大動脈瘤の有無なども調べられる。
では、オプションの動脈硬化ドックではどんな検査が受けられるのだろうか。主に行われるのは、頸動脈超音波検査、PWV/ABI検査だ。