人間ドックのオプション選びで考慮したい「4つの危険因子」
第1回 人間ドックの受け方・選び方、基本的な考えは?
梅方久仁子=ライター
40歳を過ぎると、受診者がぐっと増える人間ドック。有名人の闘病のニュースが話題を集めるたびに、「自分も体の総点検をしなければ」と思い立つ人も多いだろう。だが、いざ人間ドックを受けようとすると、施設数が多すぎて、どこで受ければいいのかわからない。あれもこれもとオプション検査を選ぶと、費用が高額になるのも悩みのタネだ。どんな施設でどんな検査を受ければ、安心できるのか。人間ドックの効果的な利用方法について、三井記念病院総合健診センター特任顧問で日本人間ドック学会副理事長の山門實氏の話を元にまとめた。
第1回は、人間ドックとはどういうものかを考える。
ドック(dock)は、次の航海へ備えるメンテナンス施設
そもそも、人間ドックとは何だろうか。

「ドック(dock)とはもともと、次の航海に備えて船を陸に上げ、徹底的に点検・修理する施設を指す言葉です。つまり、忙しい日常から離れて全身の健康状態をくまなく調べ、結果をもとに健康状態を改善するためのアドバイスを受け、必要に応じて精密検査や治療を受ける医療機関を紹介してもらう。この一連の“メンテナンス作業”が、人間ドックの役割です」。そう話すのは、日本人間ドック学会副理事長を務める山門實氏(三井記念病院総合健診センター特任顧問/足利工業大学看護学部長)だ。
健康状態をチェックする健康診断には、労働安全衛生法に基づき事業主が行う定期健康診断や、健康保険組合などが実施する特定健康診査・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)などがある。また、がん検診には、自治体が行うものと、人間ドックなどが行うものがあり、前者は「対策型」、後者は「任意型」と呼ばれる。「対策型」は、集団全体の死亡率を下げることを目的とする。
これらの健診(検診)は、きちんと受ければ個人にもメリットがあるが、検査項目はほぼ決まっていて、個人の遺伝体質や生活習慣に合わせたきめ細かな対応は、あまり期待できない。それに対して、「任意型」の人間ドックは、個人が自分の意志で自発的に行うものなので、施設や検査を自由に選択できる。費用は基本的に自己負担(保険外)で、基本メニューだけで3~5万円程度かかる。ただし、健康保険組合などでは、被保険者が自ら健康を守れるように補助を出すところが多い。
「人間ドックは、全身をくまなく検査したら、それで終わり…ではありません。安心・正確な検査はもちろん重要ですが、検査はあくまでも“オードブル”であって、人間ドックの“メインディッシュ”は、検査後の一連のフォローアップです。医師からきちんと結果の説明があり、必要に応じて保健指導や医療機関の紹介など、きめ細やかなフォローアップを受けられるのが、人間ドックの利点です」(山門氏)
ほとんどの生活習慣病や主要ながんが診断可能
だが、いざ人間ドックを受けようと思ったときに、多くの人が迷ってしまうのが、大きく次の3点ではないだろうか。
少しでも精度の高い検査を受けるにはどうすればいいの?
検査施設はどのような点に気を付けて選べばいいの?