半年で2kgの“ゆるい減量”で異常値は確実に下がる!
食事と運動は7:3! まずは食事から着手し、次に「NEAT」を増やす
二村高史=フリーライター
ビジネスパーソンの多くが気にする「メタボ」。本特集では誤解されがちなメタボを正しく理解し、どういった対策を打っていけばいいのかを紹介していく。
前回は、メタボを放置することがいかに危険であるかを見ていった。目立った自覚症状もなく動脈硬化が進行し、糖尿病、脂質異常、高血圧症といった生活習慣病を招く。そして、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞のような重篤な症状が起こり、命を奪われたり、重い後遺症を患ったりしてしまう。
では、どうすればメタボがもたらす“病気のドミノ倒し”から逃れることができるのか。前回に続いて、結核予防会 総合健診推進センター所長で東京医科歯科大学臨床教授の宮崎滋さんに話を聞いた。
3~6カ月で「体重の3%の減量」で十分
前回も解説したが、「メタボリックシンドローム」(メタボ)は自覚症状がほとんどない。このため、本人が生活習慣に問題があると認識できないうちに、動脈硬化が進行していく。これこそがメタボの怖いところだ。そして、ドミノ倒しのように次々に体に異常が発生していき、ある日突然、心臓発作や脳卒中で死亡―。そんなことにならないように、早めに対策を講じることが大切だ。
ではどうすればいいのか。
第1回、第2回で解説したように、メタボの原因は「内臓脂肪の蓄積」にある。たまった内臓脂肪から脂肪が放出され、脂質異常を起こし、さらに、内臓脂肪が産生するアディポサイトカインの分泌異常が起こり、血糖値が上昇し、血圧が上昇して、動脈硬化の危険が高まる。
対策はとてもシンプルで、メタボの根源ともいえる「内臓脂肪を減らす」ことに尽きる。宮崎先生も、「メタボと診断された人は、内臓脂肪を減らすことで健康になれる可能性のある人です。多くの人は、やせれば内臓脂肪が減ります。誤解されている人も多いのですが、内臓脂肪は、皮下脂肪より減らすことは容易です」と話す。
とはいえ、減量は多くの人にとって長年の懸案。わかっていても、実現できていない人が多いのではないだろうか。一時的にやせても、リバウンドで戻ってしまうというパターンもあるだろう。実際問題、多くの人は「標準体重にするのに10kgやせて!」などと言われても実現は難しいだろう。
しかし、宮崎先生は、そんな大幅な減量は不要で、むしろ時間をかけて“ゆるく減量”することが大事だという。
「メタボの改善には、まず『3~6カ月で体重の3%の減量』で十分です。それだけで内臓脂肪は減少し、高血圧・高血糖・脂質異常も改善し、脂質代謝や糖代謝を円滑にする生理活性物質であるアディポサイトカインの分泌も正常に近づきます」(宮崎先生)
3%といえば、体重60kgの人なら1.8kg、80kgなら2.4kgだ。これを、3カ月から半年かけて減らせばいいと宮崎先生は話す。
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