話題の「隠れメタボ」とは? メタボにまつわる2つの誤解
メタボはただの肥満ではない! 本質を正しく理解する
二村高史=フリーライター
ビジネスパーソンの多くが気にする「メタボ」。キーワードが登場してから10年経ち、すっかり定着した感のあるメタボだが、そこにはいくつかの“誤解”が潜んでいる。多くの人が「オレはメタボだから」などと話すのは、「メタボ=肥満(デブ)」という意味で使っているが、それは間違いだ。メタボはただの肥満ではない。メタボの本質を正しく理解して、適切な対策を打つことが肝要だ。
最近では「隠れメタボ」といったキーワードもマスコミで盛んに報じられている。これは従来のメタボと何が違うのだろうか? 特集では誤解されがちなメタボを正しく理解し、どういった対策を打っていけばいいのかを紹介していく。第1回では、メタボの本質とメタボをめぐる最新事情を、結核予防会 総合健診推進センター所長で東京医科歯科大学臨床教授の宮崎滋さんに話を聞いていく。
メタボは単なる肥満ではない
「メタボ」が流行語大賞のベストテンに選ばれたのは、今から10年前の2006年のこと。流行っては消える流行語の世界の中でメタボはしっかりと生き残った。2008年からは、メタボ健診とも呼ばれる特定健康診査(特定健診)制度が始まったこともあり、メタボという言葉が世の中に完全に定着した。
だが、あまりにも「メタボ」という言葉が一般的になってしまったために、本来の意味から外れて使われる機会が増えてきた。それまで「肥満」あるいは「デブ」と言っていたのが、その代わりの言葉として、安易にメタボが使われるようになったのだ。実際、肥満の人はメタボに該当するケースが多いのは事実だが、「メタボ=単なる肥満」ではない。
この誤解を生んだ背景にあるのが、特定健診のメタボ診断基準に「腹囲の測定結果」が入っていることだ。みなさんご存じの「男性85cm以上、女性90cm以上」という基準だ。
メタボが「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」の略であることは多くの人がご存じだろう。これは直訳すると「代謝症候群」。代謝(metabolic)とは、糖質や脂質などカラダに取り込んだ成分をエネルギーに変化させる過程のことで、この代謝に異常をきたすのがメタボリックシンドロームということになる。とはいえ、こういわれてもピンと来ないという人がほとんどだろう。まずは、肥満とメタボの違いをきちんと理解しよう。
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