ウォーキングや山歩き、フォーム改善まで、スポーツにも「ヒモトレ」が効く!
北村昌陽=科学・医療ジャーナリスト
スポーツの秋。ランニングやゴルフ、トレッキングなど、いろいろなスポーツを楽しむ人が多い。パフォーマンスを高め、けがを防ぐ方法として、「ヒモトレ」を取り入れてみよう。体のバランスが改善し、安定性や敏捷性が高まる。トップアスリートも取り入れている本格派トレーニングだが、難しいことは何もない。1本のヒモを体に巻くだけだ(第1回、第2回、第3回記事も参照)。
スポーツのトレーニングというと、どんなものを想像するだろう? 学生時代に体育会系だった人なら、走り込みや腹筋、腕立て伏せといったメニューを思い出すかもしれない。そういったトレーニングのベースになっているのは、「体を鍛えれば、パフォーマンスが上がる」という発想だ。
ここに落とし穴がある。
「鍛えようとする前に、まず今の体のポテンシャルをきちんと発揮できているかどうかを知ることが大切です。それには、全身の連動性や関係性がカギとなります」。ヒモトレ考案者で、バランストレーナーの小関勲さんはこう話す。
現実には多くの人が、体の使い方が部位ごとにバラバラになっていて、ポテンシャルを発揮できていない。そんな状態で「鍛える」にばかり目を向けても、パフォーマンスは上がらない。それどころか、かえって体のバランスを崩して、けがや不調に陥りかねない。
まずは「上半身」と「下半身」の連動を整えてみよう。それだけでも大きな違いを感じることができるだろう。
ものを投げたり、振り回したりするのは手(上半身)の役割。一方、歩く、走る、跳ぶといった動作は脚(下半身)の役割。一般にはこんなイメージがある。だが実際はどうか。投げる動作では足腰が重要な働きをするし、走ったりジャンプをする際には、脚の筋力だけでなく体幹部(上半身)の働きが重要だ。
こういう話は、スポーツ好きの人ならよくご存じだろう。「投げる」でも「走る」でも「跳ぶ」でも、重要なのは「上半身と下半身の連動」なのだ。
上半身と下半身をつなぐのは、股関節。そして、股関節の働きを良くするヒモトレメニューが、この連載の第2回で紹介した「脚ヒモ」だ。
使うヒモは、梱包用ロープなどの少し伸縮するヒモなら何でもOK。スカーフやストールでも代用できる。ゴムバンドなど大きく伸びるものや、逆に全く伸びない皮ヒモなどは逆効果になるので注意しよう(詳しくは第1回の記事を参照)。
次ページの動画で、「脚ヒモあり」と「脚ヒモなし」の比較をしているので、ぜひ見てみよう。
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