睡眠不足はほろ酔い同然、疲れ解消に必要な睡眠時間とは?
パフォーマンスUPのための“疲れ知らず脳”のつくり方(4)
塚越小枝子=フリーライター
睡眠不足を見極める方法
では、日ごろ十分な睡眠がとれているかは、どう見極めればよいのだろうか。
「一つの目安は、昼食後に眠くなるかどうか。昼食後は血糖値がいったん上がった後に下がりますし、バイオリズムやホルモンの働きからも眠くなるようにできているのですが、十分な睡眠がとれていれば、耐えられないほどの眠気にはなりません」(西本さん)
昼食後に耐えられないほど眠い場合は、睡眠不足か何らかの睡眠障害の可能性がある。睡眠時間を長くするか、20分以内の短い昼寝をとるなど、生活を見直す必要がありそうだ。それでも昼間の眠気が解消されない場合は、医療機関を受診しよう。
睡眠の質を高めるためにできる工夫
十分な睡眠時間が大切とはいえ、もちろん睡眠の「質」も重要であることに変わりはない。質を高めるためには、次のような工夫をするとよいという。
(1)休日に寝だめをしない
起きる時間が日によってまちまちだと、体内時計が整わず、起床を準備するホルモンや自律神経がうまく働かなくなるため、すっきりと起きられない。休日と平日の時間帯の間で“社会的時差ぼけ”といわれる状態に陥ってしまう。平日の起床時間に対して、休日もプラスマイナス1時間くらいの差に抑えるほうが、結果的に1週間を楽に過ごせるという。
「休日、もし、起床後まだ眠ければ、一度起きたあと、明るい場所で二度寝などをして調整しましょう」(西本さん)。後述するように、体内時計の主時計は明るさで調整されているため、せっかく朝起きて一度リセットされた体内時計を暗い場所で寝ることで乱さないようにしたい。
(2)朝起きたら太陽の光を浴び、朝食を食べる

体内時計には「主時計」と「末梢時計」の2種類があることが、最近の研究から分かってきた。主時計は光によって調節される、1日のリズムを刻む体内時計だ。末梢時計は、主時計の指示を受けながら、食事による刺激で調節され、体内の代謝リズムをコントロールしている。
睡眠の質を高めるためには、この2つの体内時計を同調させてリズムを刻むことが大切だ。そのためには、朝起きたときに太陽の光を浴び、それに合わせて朝食を食べることで、2つの体内時計に1日の始まりを認識させることができる。
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