遺伝子検査サービスで何がわかる?
一般向けサービスはヘルスケアの一環、“わかること”を正しく理解しよう
田村知子=フリーランスエディター
ここ数年で「遺伝子検査サービス」の低価格化が進み、試しやすくなってきた。がんのかかりやすさ、お酒の耐性、太りやすさなど、遺伝子が影響する範囲は広い。遺伝子情報は一生変わらないことから、「一度検査しておこうか」と思った人も多いだろう。しかし、「どんな検査で、何がわかるのかが、わからない」ため、やるべきか判断できない人も少なくないのではないだろうか。今回の特集では、遺伝子検査サービスの最新事情から、実際にどういった手順でサービスを受け、どんな結果が届くのかまでを紹介していく。
著名人が“がん”に罹患したり、がんで亡くなったという報道が相次ぐと、「自分は大丈夫だろうか」と不安になる。もちろん食事や運動、喫煙などの生活習慣も大きな要因となるが、自分ではどうしても変えられない部分がある。それが「遺伝子」だ。
がんだけでなく、お酒(アルコール)に対する耐性や太りやすさなど、遺伝子によって大きく影響を受ける要素は多くある(場合によっては、遺伝子だけでほとんど決まってしまうケースもある)。
遺伝子を調べておけば、かかりやすい病気のリスクや体質の傾向を把握できる。それにより、例えば、自分が特定のがんにかかりやすいなら、検診を定期的に受けたり、生活習慣を見直すなど、自分で今後の行動を考え、病気になりにくいように自分で努力することができる。“自分の体質”を科学的に把握した上で、自分にマッチした対策が取れる――この意義は大きい。
とはいえ、以前なら、個人が自分の遺伝子を調べる術はほとんどなかった。それがここ十数年で検査技術が著しく進歩し、一般個人でも手軽に調べられるようになった。実際、ここ3、4年で個人向けの遺伝子検査サービスが急増している。費用も、検査対象を絞った安いものなら6000円程度から、300項目程度が調べられるサービスでも3万円程度で受けられる。
この価格を高いと考えるか安いと考えるかは、人それぞれだろう。ただ、「どんな検査で、何がわかるのか、イマイチわからない」ので、やるべきかどうか判断できないと感じている方も少なくないのではないだろうか。そこで、今回の特集では、遺伝子検査サービスの最新事情から、実際にどういった手順でサービスを受け、どんな結果が届くのかまでを紹介していく。
9月末までの割引キャンペーンで、販売数が急増
今年の夏は、遺伝子検査を4割引き~半額などで受けられるサービスが相次いだ。折り込みのチラシなども配布されたので、興味を持った人、あるいは実際に受けてみたという人もいたのではないだろうか。
「未病の改善」への取り組みを推進する神奈川県では、「平成27年度 未病市場創出促進事業」の1つに、大手IT企業DeNAの関連会社、DeNAライフサイエンスが提供する遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を採択。これを受けてDeNAライフサイエンスでは、神奈川県民を対象に「MYCODE」を今年2月まで4割引で販売し好評を得た。3月からは自社が本社を置く東京都民を対象に加え、8月まで割引キャンペーンを実施していたが、「好評を博して販売数が伸び、9月末まで期間を延長した」(同社ヘルスケアサービス部 MYCODEグループ グループマネジャーの東一圭祐氏)という。このほか、遺伝子解析を専門とするジェネシスヘルスケアも、一般向け遺伝子検査キット「GeneLife(ジーンライフ)」を9月末まで約半額となる特別価格で販売した。
MYCODEの場合、2014年8月にサービスを開始した当初は、利用者の中心は30~40代。その7割が男性だったというが、現在は30~50代を中心に、男女差なく利用されているという。「新しいサービスに敏感な方だけでなく、一般にも認知、関心が高まってきている」(東一氏)。