「肝臓のために…」と飲んだウコンに落とし穴!
脂肪肝の人は有酸素運動で脂肪を燃やすのが王道、サプリに頼らない
村山真由美=フリーエディター・ライター
肝臓は生命維持に欠かせない非常に重要な臓器。「解毒」「代謝」「胆汁の生成」などの重要な機能を担っている。そして国民病といわれる糖尿病や脂肪肝との関わりも深い。本特集では、誰もが正しく知っておきたい「肝臓の新常識」を、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科 准教授の浅部伸一さんに聞いていく。
第1回では脂肪肝と肝臓病の関係、第2回では食べ過ぎが脂肪肝を引き起こすしくみについて述べた。今回は肝臓についた脂肪を運動で取る方法や、肝臓にいいといわれるサプリメントなどについて解説する。
適正量を食べる+有酸素運動で脂肪を燃焼
「脂肪肝を改善するには食べ過ぎないことだ」と言い続けてきたが、正しくは、たくさん食べても運動量が多ければ脂肪肝にはならない。
要は、エネルギーの摂取量と消費量のバランスの問題だ。摂取量が多いと余剰分が中性脂肪として肝臓にたまる。しかし、摂取量が多くても消費量がそれに見合って多ければ、脂肪は肝臓にたまらない。つまり、脂肪肝の予防・改善には、運動も重要なファクターとなる。
「脂肪肝のある人は肥満を伴うことが多いため、治療の第一歩は、食事や運動の指導を受けて減量することになります。注意したいのは、目的は体重を減らすことではなく、脂肪を減らすことだということです。体脂肪を減らす(燃やす)ためには、栄養バランスのいい適正量の食事を摂ることに加え、有酸素運動を行うことが有効です」(浅部さん)
有酸素運動とはウォーキング、ジョギング、プールで歩くなどがあるが、脂肪を燃焼させるには激しい運動は必要ない。自分の運動能力の5割程度の強度が有効だ。「運動能力の5割程度」といわれてもピンとこない人も多いと思うが、これは軽く汗ばむ程度の運動を指す。
こうした運動を毎日20分以上行うのがベストだが、週3回程度で、1日の運動を数回に分けて行っても、ある程度効果は期待できる。
よくいわれることだが、「通勤時などで電車を使う際、目的地の一つ前で降りて歩く」「駅や職場でエレベーターを使わずに階段を上る」「歩くときは少し速足で歩く」といった“定番”を、例えば1日おきに実践することから始めるといいだろう。
“食べなさ過ぎ”も脂肪肝につながる!
なお、「エネルギーの摂取量と消費量のバランスの問題」というと、「摂取量を大幅に落とせばいいのでは?」と考える人もいるだろう。だが、自己流で極端な食事制限を行うと、「体重は減ったが、脂肪は減っていない」ということが起こりうるので注意が必要だ。
前回(「 脱“脂肪肝”の落とし穴、油だけでなく“糖質”に注意!」)も述べたが、私たちの体は飢餓に備えて、エネルギー源として脂肪を蓄えるようにできている。それは、たくさん食べたときの余剰分を脂肪として蓄えることを意味する。一方で、食べる量が少な過ぎたり、食事を抜いたりした場合も、体は、次はいつ食べられるかわからないと判断し、脂肪をため込もうとする。
つまり、食べ過ぎがよくないのはもちろんだが、食べなさ過ぎも脂肪肝の原因になるということだ。特に適度な運動(筋トレなど)を行わずにタンパク質の摂取を減らすと、筋肉量が減ると同時に脂肪をため込もうとするために、痩せにくい体質になってしまう。
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