ワインは低糖質だった! ポリフェノールだけじゃない、これだけの効能
知られざるワインの健康効果! 血圧を下げる、腸内環境を整える効果も
大塚千春=フリーエディター・ライター
適量のワイン摂取が血圧を下げる!?
佐藤教授は、注目のワインの健康効果として「血圧を下げる効果」と「腸内環境を整える効果」を指摘する。
「適量のワインは血圧を下げる効果が期待できます」と佐藤教授。「イギリスのリバプール・ジョン・ムーアズ大学の研究者が、6000人を対象に、運動、食事、肥満度と血圧の関係を調べたところ、ワインを多く摂取する人は血圧が統計的に有意に低かったという調査結果が出ました。一方、ビールの場合は血圧は上昇しました」(佐藤教授)。この調査では、ワインを飲む人の中で1日約250ml程度たしなむ人が最も血圧が低いという結果が出ている(Annals of Human Biology;24(3):1997,229-247.)。なお、ワイン1日約250ml以上になると、血圧は上昇したという。
なぜ、ワインに血圧を下げる効果が期待できるのだろうか。佐藤教授は、「ワインにはカリウムが多く含まれています。カリウムには、ナトリウム(塩分)を体から排出する働きがあります」と説明する。赤ワインの場合、ワイン100g中に110mg、白ワインの場合は60mgのカリウムを含んでいる(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)。日本酒(5~7mg)やビール(34~65mg)より豊富に含まれている。
ワインには腸内環境を整える効果も
ワインの味わいの特徴の一つに、その酸味がある。この酸味の基となっているのが、ワインに多く含まれる酒石酸、乳酸などの有機酸だ。「酒石酸、乳酸などの有機酸には、腸内で悪玉菌の生成を抑え、善玉菌を活性化させる働きがあります。つまり、腸内環境を整える効果が期待できるのです」(佐藤教授)
さらに、ワインに豊富に含まれるポリフェノールも腸内環境を良くするのに一役買っているという。「ポリフェノールは、分子が大きく腸でなかなか吸収されません。実は、腸内にいる善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌はポリフェノールを食べて増殖するのです。つまり、ポリフェノールには食物繊維を摂るのに近い効果があり、便秘予防などの効果が期待できます。ポリフェノールが多い赤ワインの方がより多くの効果を期待できます」(佐藤教授)という。
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9月9日公開の次回は、ワインの価格と生産方法の関係やワインに添付される酸化防止剤などについて詳しく見ていく。ワインと一口に言っても価格はさまざまだが、健康効果に違いがあるかをレポートしよう。
山梨大学ワイン科学研究センター・客員教授
