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がんになって気付いたこと

乳がん患者2人が緩和ケアの冊子を作ったわけ

前田典子さん、池谷光江さん「患者でなければ、書けないことがある」

 前田典子、池谷光江=乳がん患者

池谷 その半年後には、右の乳房にがんが見つかりました。が、リンパ節を残す手術法ができる別の病院を選びました。左も右も、同じような手術だったのに、状態が全然違うんです。左は15年以上経った今でも少し腕がむくむし、違和感が残っています。でも、右側は手術後1週間も経たないうちに普通の状態に戻ってしまいました。

 このときの体験から、患者が病気についてしっかりした情報を持っていないと、大変なことになるんだと思い知らされました。

 ほかの人にはこのような思いをしてほしくないいう意識から、その後ずっと、乳がん患者さんを支援する活動を続けてきました。その中で、乳がん患者さん向けの雑誌を作ったこともあったので、緩和ケアの小冊子作りもお手伝いできるだろうと考えました。

見ず知らずの先生に、手紙で協力を依頼

小冊子を作るにあたって、医療の専門的な情報は、どのように集められたのですか。

池谷 最初は、書籍や患者向けの講演で得た内容をもとに、構成していきました。でも、ある程度形ができてくると、素人が作ったものをそのまま配布していいのだろうかと、心配になってきました。しっかりとしたものを作るためには、やはり専門家である医師に内容をチェックしてもらいたくなりました。そこで、緩和ケア医として有名な余宮きのみ先生に手紙を書くことにしました。

どなたかが、紹介してくれたのですか。

前田 残念ながら、つては全くありませんでした。ただ、余宮先生はセミナーで患者目線の話をされていたので、「患者のためになることなら、引き受けてもらえるかもしれない」と直感したんです。

池谷 余宮先生からは、すぐに「とりあえず一度原稿を見せてください」と連絡をいただきました。原稿を送ったら、「これはとてもいいものだから、自分の専門分野はしっかり見ましょう」と言ってくださいました。それで、修正を加えながら、3回くらい読んでいただきました。医学的なところを、細かい言い回しまで、本当にしっかりと確認していただきました。

 ただ、余宮先生の専門外、例えば漢方は別の先生に、とお話がありました。そこで、前田さんが他にもいろいろな方に依頼してくださって、何人かの専門の先生に原稿を見ていただきました。

前田 漢方や鍼灸、アロマテラピーについては、それぞれ詳しい先生にお願いしました。漢方の先生は紹介はなかったのですが、快くチェックを引き受けてくださったことに感謝しています。

2人でこれだけのものをまとめるのは、大変だったでしょう。専門家に見ていただく他にも、どなたかに手伝ってもらったりしたのでしょうか。

山岡鉄也(日経BP 広告局プロデューサー)

前田 「体験者の声」は、私や池谷さんの友人にお願いして書いていただきました。

池谷 巻末に、がんの治療を受ける上で役に立つサイトの一覧のほか、47都道府県のがん診療連携拠点病院がん相談支援センターのリストを付けました。これらは、私の元の同僚にデータ化をお願いしました。それから、印刷後に冊子を広める作業は、本当に大勢の人が協力してくださいました。

前田 私の主治医の先生も協力してくれて、国立がん研究センター中央病院の相談支援センターに小冊子を置いていただくことになりました。そのおかげで、さまざまなところから引き合いがあって、大勢の方に読んでいただくことができました。

 冊子について主治医から「実際にがんを経験した患者さんだからこそ、書けることですね」と言っていただいきました。患者だから書けることもあるのだ、患者目線の小冊子を作って本当によかったと、うれしくなりました。

 患者の視点で企画した冊子『がん患者のための緩和ケアの受け方』を作り上げた前田典子さんと池谷光江さん。二人とも自身の経験を踏まえ、広くがん患者をサポートしたいという気持ちは同じでした。次回は、小冊子を作っていく過程で気付いたことを、さらに詳しく伺います。

(写真:清水真帆呂/文:梅方久仁子)

聞き手:山岡鉄也
日経BP 広告局プロデューサー
2010年、肺がん(ステージIV)と診断される。入院や通院での治療の後、復職。2012年4月から2016年3月まで国立がん研究センターの患者・市民パネルメンバー。自らの経験を生かして、がんと就労が両立できる社会を目指して、「がんと共に生きる」「がんと共に働く」をスローガンにその環境整備をライフワークにしている。

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