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がんになって気付いたこと

治療の発展とともに、患者の力は医療者から期待される存在に

肺がん患者会・ワンステップ!代表 長谷川一男さん「人はみんな、支え合っている」(後編)

 長谷川一男=ワンステップ!代表

診断に至るまでの経過、治療法、病気の状態など、がんのエピソードは人それぞれ。がんと向き合った人々がその経験から「気付いたこと」は、今を生きる私たちが忘れてしまいがちな発見や希望に満ちています。自身も肺がん患者である、日経BP社の山岡鉄也が、がんと向き合った人々に話を聞き、「気付いたこと」について触れていきます。

 前回に続いて、肺がん患者の会ワンステップ!を立ち上げた長谷川一男さんに、がんになって気付いたことについてお話を聞いていきます。患者会の設立によって医療者から求められるようになったある役割や、がんになって長谷川さんが感じた家族や周囲の人との絆とはどのようなものだったのでしょうか。

肺がん患者の会ワンステップ!を立ちあげられましたが、日本には肺がんの患者会は、これまでなかったのですか。

肺がん患者の会 ワンステップ!のホームページ

長谷川 ほとんどありませんでした。乳がんなどと比べて肺がんは、予後が短かったことがあると思います。でも、最近、医療が発展して肺がん患者の予後が長くなってきて、患者会がいくつも生まれてきています。ここ2、3年のことですね。

 こういった動きは、日本に限ったことでなく、世界的に同じです。ただ、アメリカなどは少しだけ先を進んでいて、肺がん患者が患者会を作るだけではなく、医療者と一緒に医療を変えるところまできています。アメリカでそんなことができるのなら、日本でもやれるだろうと思います。

患者会ができて患者が主体的に活動することについて、医療者の反応はどうですか。

長谷川一男さん(肺がん患者の会 ワンステップ!代表)
1971年生まれ。テレビディレクターとして働くが、2010年に肺がんと診断される。2015年4月に肺がん患者会 ワンステップ!を設立し、代表を務める。

長谷川 医療者はアメリカをはじめとする世界の流れを見ているので、患者がどんどん発言したり、主体的に活動したりするのは当然のことと受け止めてくれるようになってきました。

 患者会の存在は、実は医療者にもメリットがあります。例えば、日本肺癌学会は「肺がん医療向上のための京都宣言」の第1に「肺がん患者中心の肺がん医療を実現します」とうたっています。でも、そのために医療者が患者の意見を聞こうと思っても、これまで患者の意見を伝えてくれる窓口がありませんでした。

 また、「患者中心の医療」を実現しようとすると、医療者だけでは解決できない問題が山ほどあることに気付きます。患者会は、そういう問題に取り組んでくれる存在になれます。ですから、医療者が患者会にすごく期待してくれているのを感じています

 患者会でお互いの気持ちを分かち合うことはとても大切ですが、患者会は、その他にもさまざまな可能性を広げるものだと思います。ひとつひとつはとても小さな患者会でも、集まれば大きな声になります。大きな声になれば、行政に患者の要望を届けたり、医療者と連携することもしやすくなるでしょう。なにより、せっかく患者会がいくつもできているのに、それらがバラバラではさびしいじゃないですか。そこで、あちこちの患者会に声をかけ、2015年11月に日本肺がん患者連絡会を立ちあげました。現在、ワンステップ!を含めて6つの患者会が参加しています。

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