60代前半の9割が「もの忘れが心配」…将来の認知症との関係は?
日経Gooday読者アンケート調査
日経Gooday編集部
毎日同じ時間に起きることが最も重要
築山さんによると、「脳機能の低下の原因は主に『疲労』であり、疲労回復にとっては睡眠が何よりも重要になります。毎日、きちんと同じ時間に起きることができれば、疲れが取れます」(築山さん)。実際、アンケートでも「毎日、ほぼ同じ時間に起きている」と答えた人が、最も「もの忘れが心配」ではないという結果となりました。一方で、睡眠が不規則だったり、週末に多めに寝ている人は、「もの忘れが心配」と答えた人が多く、疲れが十分に取れていないのかもしれません。
それでは睡眠時間はというと、「7時間程度」の人が最も「もの忘れが心配」と答えた割合が低く、疲れが取れていることがうかがえます。短時間睡眠はもちろん問題ですが、「8時間以上」寝ている人も実は「もの忘れが心配」という人が多かったのです。
111万人以上を対象にした米国の大規模調査でも、7時間前後眠っている人が最も死亡リスクが低く、それより睡眠時間が短くても長くても死亡リスクが高くなる結果になっています(Arch Gen Psychiatry. 2002;59:131-6.)。睡眠時間は短くても長くても問題なのかもしれません。
運動の頻度については「ほぼ毎日」という人が最も「もの忘れが心配」ではないという結果になりました。運動を継続している人は、規則正しい生活を送り、ストレスをためずに、疲れをきちんと取ることができているのでしょう。
定年になって会社を辞め、人とのつながりが減り、仕事をしなくなった結果、認知症の症状が表れてくるのが「定年認知症」です。築山さんによると、定年認知症になる人は「40代、50代から脳機能の低下が起きている可能性がある」そうです。
現在は60歳を過ぎても働く人は多いものの、いつかは仕事を辞める日がきます。仕事を辞めたら「自分も認知症になるのでは」と不安に思う人は少なくないでしょう。将来の認知症を避けるためにも、どのような生活を送ればいいのか、どのようなもの忘れに気をつけたほうがいいのかについて、特集「怖いもの忘れ、怖くないもの忘れ」で解説しています。ぜひご覧ください。