前回の記事で、新陳代謝を活発にするカギは、血液、血管、血流の3つの要素を合わせた「血液力」にあることや、血液力が高い人と低い人では見た目と体調が違うこと、血流調整力の高低が冬の肌荒れに関係することなどについて紹介した。今回のテーマは、血液力と冷え。冬になると冷えを訴える人が増える。女性特有の悩みだと思いがちだが、実は、自覚はないが冷えている男性も多いという。「冷えている=血液の循環が悪い」ということで、冷えは、万病のもとともいえる。そこで今回は、冷え対策を中心に、運動や入浴で「血液力」を高めるコツについて紹介する。
「冷え」の改善に効果的なのは運動

足が冷たくて夜眠れない…。寒くなると、こんな悩みを持つ人が増える。
「血液は体の中心部で作られた熱を末端に送る役割も果たしています。手足が冷えるということは、血液が末端にうまく届いていないということ。カイロや足湯などで冷える部分を温めるのもいいですが、それだけでは効果的とはいえません」と話すのは、医師・医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶さん。
前回同様、福田さんは、私たちの体を都市に、血液をライフラインに例えて解説してくれた。
「末端である手足が冷たいのは、例えれば、中央から離れた地方都市に人や物、情報などがスムーズに届かず、活気が失われた状態だと考えてください。手足を温めることは、活気を取り戻そうと地元の人だけでがんばっているようなもの。地元の人ががんばることはもちろん大切ですが、同時に、中央から人や物、情報を送ってもらったほうが、町は早く活気を取り戻すことができます」(福田さん)
つまり、手足を温めると同時に、体の中心の熱を手足に届けることが大切なのだ。「そのために一番いいのは運動です。筋肉を動かすと熱が生まれますし、筋肉がポンプの役割をして血流が促され、末端に血液とともに熱が送られます」(福田さん)
若く見える人は体幹を使っている
運動で血流を良くすることは、冷えだけでなく、もちろん、全身の健康にもいい影響を及ぼす。
例えば、若く見える人と老けて見える人の差には、「血液力」が関係していることは前回述べた通り。中でも運動は、血管の健康と深く関わっているという。
「どんな人でも加齢による血管の老化は避けられません。たとえ、血液検査の結果が正常であっても、90歳になれば誰でも動脈硬化になります。しかし、生活習慣によって血管が傷むスピードを遅くすることはできます。その1つのファクターが運動。運動をしている人としていない人では、30代後半くらいから肌の色ツヤや体形などに差が出てきます」(福田さん)
運動は血流を良くする。すると、体の隅々の細胞に酸素や栄養が行き届くため、肌の色ツヤが良くなる。また、「運動をしている人は、していない人に比べて、必ず腹筋を多く使っています。つまり、体幹がしっかりしている。そのため運動している人は姿勢が良く、歩くペースが速いという特徴があります」(福田さん)
姿勢が良く、アクティブに動ける人は、消費エネルギーも多い。つまり、太りにくくなるのだ。
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