職業別「陥りやすいパターン」と「生活習慣見直しのヒント」
【A】デスクワーク中心の仕事

▶規則的な勤務時間で、デスクワークが多い。
▶例:事務職、管理職など
◆職業的な特徴や陥りやすいパターン
- 座っている時間が長いため、エネルギー消費量が少ない。また、肩こり、腰痛が起こりやすい。
- 気分転換のためについついお菓子を食べたり、習慣的に甘い飲み物を飲む人は、やせていても血糖値が高くなりやすい。
- 大きな病気は比較的少ないが、部署や時期により、ストレスに伴って睡眠の質が悪くなることがある。
◆健康リスク ……(大きなリスクはないことが多いが)基礎代謝が低く、睡眠の質が悪いなど
◆生活習慣見直しのヒント
- 勤務中に肩甲骨を中心に軽いストレッチを行い、血流をよくする。
- 気分転換の飲み物を甘いジュースからお茶にする。胃腸を動かすと副交感神経が優位になり、リラックスや代謝アップにつながるため、飲食は有効。しかし、甘い飲み物をたびたび飲むと肥満や血糖上昇の原因になるので注意。会社に設置されている自販機のメニューを、缶コーヒーやジュースをやめて、お茶や水にしたところ、従業員の健診数値が改善した事例もある。
【B】顧客の都合優先の仕事

▶顧客の都合が優先で生活リズムが作りにくい。デスクワークが多いか、外回りや立ち仕事が多いかによってリスクの種類が異なる。
▶例:営業職、接客業、サービス業、IT関連(システムエンジニア)など
◆職業的な特徴や陥りやすいパターン
- 顧客の都合優先なことが多く、食事の時間が不規則になりやすい。すきま時間に菓子パン、ファストフードなどで食事を済ませたり、食事を補う形でジュースやエナジードリンクを多く摂取する傾向があり、糖質過多になりやすい。サービス業、接客業では、やせているのに高血糖ということが少なくない。
- 営業職で宴席が多い人は、食べ過ぎ、飲み過ぎになりやすく、血糖値やコレステロール値、中性脂肪値が高くなりやすい。
- IT関連の人は、運動量も食事量も少なく、若いうちは太っていなくても血圧が高めな人も。長時間同じ姿勢で作業をし、緊張状態に伴う交感神経優位により血管が収縮している可能性が考えられる。
◆健康リスク ……メタボ、高血糖(IT関連は若年時からの高血圧)など
◆生活習慣見直しのヒント
- 菓子パンばかり食べる人は時にはおにぎりに替える。米の方が、精製された小麦粉よりも消化・吸収が緩やかなので、それだけで血糖値の急上昇が防げる。
- 宴席が多い人は、つまみを食べる順番を変える。揚げ物などからではなく、野菜や海藻などから食べ始めると血糖値の急上昇や、脂質の代謝の低下を防げる。アルコールの代謝に必要なビタミン B1を含む枝豆や冷ややっこなどもおすすめ。また、酒を飲む時はチェイサーを入れる、アルコールの摂取量が減らせる。
- パソコンに長時間向かっている人は、1時間に1回はお茶や水を飲み、深呼吸やストレッチをする。副交感神経を優位にするとリラックスできるだけでなく代謝もアップ。
- 残業が続くときは血圧を測ってみる。緊張が高まると血圧が上がりやすい。普段は血圧が正常範囲内の人でも、残業中は収縮期血圧が150 mmHgを超えることもある。動脈硬化のリスクを避けるためにも、日頃の血圧を意識したい。