「寝食忘れて働く」はナンセンス
なぜなら私たちが活動するためには、エネルギーが必要だからだ。「作り出すエネルギーの総量が少ないと、エネルギーは生きるために必要最低限の、心臓の拍動や呼吸などに使われてしまい、脳には届きません。脳は体の中でも最も多くのエネルギーを必要とします。エネルギーが足りないと創造力が低下し、仕事に悪影響を及ぼします。ですから、コンスタントに食事をすることはとても大事なのです」(古井さん)
かつて日本の企業では、「寝食忘れてがむしゃらに働く」ことが、“美徳”とされてきた。しかし、こうした働き方は体調不良や病気を招くだけでなく、仕事のパフォーマンスも低下させる。
「社員の健康づくりに投資すると、生産性や創造性が高まり、企業にとってメリットがあることが分かってきました。そこで、健康づくりをスキルアップのひとつとし、クリアしたらインセンティブを与える企業も出てきています」(古井さん)。
ある金融系の企業では、健康に関するプログラムを受けて自らの健康マネジメントをすると、給料が上がる(管理職対象)という仕組みを導入している。他のスキルを磨くのと同様、仕事に必要な技術を評価するのだという。
先進的な企業では、社員の健康はもはやビジネス戦略の一つとしてとらえられているのだ。
職業別“陥りやすい罠”を知り、代謝アップを目指そう
話をメタボや生活習慣病に戻すと、まず「朝食抜き」はどの職業にも共通してよくない習慣であることは分かった。それ以外に、具体的にどんなことに気を付ければいいのだろうか。
これまでの特定健康診査、特定保健指導で蓄積されたデータを解析した結果、職業別でなりやすい病気が異なることが見えてきた。職業を事務系か非事務系か、また、自分で生活のリズムがつくりやすいか、そうでないかで分けると、おおまかに4パターンに分けられる(図1)。そのパターン別に、なりやすい病気とその対処法(生活習慣見直しのヒント)について解説しよう。生活習慣見直しのコツは、後で詳述する通り「スモールチェンジ」だ。
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