ミトコンドリアが元気だと脂肪が燃える
前述した通り、脂肪を消費させるには、まず、褐色脂肪細胞の働きを活性化させて「熱への変換」を進めることが大切だが、どんなに脂肪分解が進んでも、使われなければ消費されない。このときポイントになるのがミトコンドリアだ。
「ミトコンドリアは私たちの細胞の中にある器官で、主な働きはエネルギーのもとを作ることです。なかでも重要なのは、熱を作っているということです」(宮崎教授)
脂肪消費のプロセスで、消費と直接関わっているのはミトコンドリアだけだ。つまり、ミトコンドリアの働きが悪いと、せっかく分解された脂肪が「消えない」のだ。
ミトコンドリアの働きを活性化させる成分は?
ミトコンドリアの働きを活性化させる成分としてよく知られているのがカルニチンだ。脂肪が分解されてできる遊離脂肪酸は、そのままではミトコンドリアの中には入れないが、カルニチンと結びつくと入れるようになる。羊肉がダイエットにいいといわれるのは、カルニチンを豊富に含み、脂肪のミトコンドリアへの取り込みをよくするためだ。
また、「お茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール類には抗酸化作用があり、褐色脂肪細胞だけでなくミトコンドリアの働きも活性化させるといわれています」(宮崎教授)
茶カテキンには、ミトコンドリアの中で働く酵素の活性を高め、脂肪の消費を促進する働きがあるといわれているのだ。
一口に「代謝を上げる」といっても、いろいろな側面からアプローチができることがお分かりいただけただろうか。ポイントをまとめると以下のようになる。
- 筋肉量の減少を防ぎ基礎代謝を上げる
- 日常生活でこまめに動いてNEATを増やす
- 褐色脂肪細胞とミトコンドリアを活性化させ脂肪を効率よく燃やす
これらは、どれか一つをやるよりも、複合的に実践するのがおすすめだ。体型や体重が気になっている人は、賢く代謝を上げる工夫をしてみてはいかがだろうか。
公益財団法人結核予防会総合健診推進センター所長
東京医科歯科大学 臨床教授
