続いては、睡眠時間の短縮と「深部体温」の関係を示すグラフ(図2)だ。
「深部体温は、3.5時間睡眠の場合も7時間睡眠の場合も、夕方から夜にかけて徐々に下がり、朝から夕方にかけて上がるというリズムを描きましたが、3.5時間睡眠の翌日は、朝から夕方にかけての深部体温が低くなっていました。体温が低いということは、代謝が低い状態になっていたと考えられます」(日比さん)
体温が低いと脂肪分解酵素であるリパーゼの働きが悪くなり、脂肪が燃えにくくなることが分かっている。
睡眠時間の短縮と「空腹感」の関係はどうだろうか(図3)。
「3.5時間睡眠の翌日は空腹感が強い傾向にあり、特に寝る前が顕著でした。しかし、面白いことに、リカバリー睡眠後は差がなくなっていました」(日比さん)
さらに、それぞれの睡眠を3回続けた後(4日目)の朝とリカバリー睡眠後(5日目)の朝に血液検査をしたところ、3.5時間睡眠後はPYYという食欲を抑制するホルモンの分泌量が減っていて、リカバリー睡眠後は元に戻っていることが分かった(図4)という。

これらから分かることは、「短時間睡眠が続くと、その分活動時間が増えても代謝が落ちるため、1日のエネルギー消費量は通常睡眠(7時間睡眠)と変わらない。しかし、食欲抑制ホルモンの分泌が減るなどして『食欲が増す』ということです。つまり、睡眠不足はエネルギー摂取量に影響して体重を増やす方向に働くと考えられます」(内田さん)
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- よい睡眠は「時間帯」が重要