「食材には複数の栄養素が含まれているため、選び方によっては、目的とする栄養素以外の栄養素をとってしまう場合があります。例えば、肉にはたんぱく質が含まれていますが、脂質が多い部位もあります。例えば、牛バラ肉(カルビ)はエネルギーの8割が脂質。つまり、たんぱく質をとっているつもりで脂質をとっている場合があるのです」(小島さん)
また、脂質は肉、魚、植物油、バターなどに含まれているが、脂質を構成している脂肪酸の種類は食品によって違う。「肉の脂に多い飽和脂肪酸は、とり過ぎると内臓脂肪の蓄積や動脈硬化を進行させます。一方、魚の油に多い不飽和脂肪酸・オメガ3のEPAやDHAは、血中脂質のバランスをよくして動脈硬化の予防に役立ちます」(小島さん)。つまり、脂質をとるなら肉の脂よりも魚の油を選んだほうがヘルシーというわけだ。
「主食を選ぶなら、やはりごはんがお勧めです。パンやパスタ料理は、それ自体に油脂や塩分が含まれていて、組み合わせるおかずも脂質が多くなりがちで、食事全体として脂質が増えやすくなります」(小島さん)
お勧めのごはんだが、白米に玄米や雑穀を加えると、食物繊維の量を増やすこともできる。「このように食材をトレードすると、食べる量を減らさなくても内臓脂肪を減らせます」(小島さん)
ここまでが代謝のいい体をつくるためのステップ2(「食事の内容を見直す」)だ。ステップ2が実現できてはじめて、サプリメントなどで足りない栄養素を補うステップ3に進める。食事のバランスをよくしても気になる不調が改善されないときは、サプリメントを試してみるのもいいだろう。そのほうが、効果が出やすくなることを覚えておこう。
内臓脂肪になりにくい食事が分かった
前回記事「『そんなに食べていないのにやせない』人が、まずやるべきこと」でも触れた通り、花王が内臓脂肪の蓄積と食習慣の関係を幅広く調査したところ、食べる量(摂取エネルギー)は同程度でも内臓脂肪が多い人と少ない人がいて、違うのは食事の「質」だということが分かった。
内臓脂肪が少ない食事習慣の人が多くとっていたものは、豆類、野菜類、果実類、魚介類で、控えめにとっていたのは肉類、油脂類だった(図1)。穀類は両者に大きな違いはなく、内臓脂肪が少ない食事習慣の人は、多い人よりもわずかに少なくとっていただけだったという。
「三大栄養素で見ると、内臓脂肪の少ない食事習慣の人は多い人に比べてたんぱく質の摂取が多く、また、脂質の摂取は少ないものの、オメガ3脂肪酸、中でもEPAやDHAを多くとっていることが分かりました。内臓脂肪の多少で炭水化物の摂取量は変わりませんでしたが、内臓脂肪が少ない食事習慣の人は食物繊維を多くとっていました」(花王基盤研究セクターの高瀬秀人さん)
花王では内臓脂肪が少ない食事習慣の人の食べ方を「スマート和食」と名付け、しっかり食べながらも太りにくい食生活のヒントとして、情報を公開している。その考え方のポイント、具体例は次ページに示す通りだ(図2、図3、図4)。
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