何を食べるか以上にどれだけ利用できるか

あなたは必要以上に食べる量を減らしていないだろうか?
「現代人は食べることを怖がっている人が多く、太っている人もやせている人も、食べずにエネルギーを減らすことがよいことだと思い込んでいます。しかし、大事なのは、いかに食べる量を減らさずに代謝を上げるかです」(小島さん)
代謝がいい、という言葉を私たちはよく使うが、この代謝という言葉はエネルギーや栄養素の利用効率とも置き換えられるという。「よく、ホウレン草には栄養がある、大豆には栄養があるなどといいますが、正確にいうと食べ物がもっているのは栄養素で、それが利用されたときにはじめて栄養になります」(小島さん)
私たちは、食品から摂取した栄養素を、消化吸収により分解したり合成したりして、必要な成分に変えている。この過程が代謝で、有効利用されたことを「栄養になった」という。
「栄養素を栄養にできるかどうかには個人差があります。代謝がいい体とは、とった栄養素をしっかり利用できる体のこと。何を食べるかも重要ですが、それよりもまず優先したいのが、利用効率のいい体、つまり、正常な代謝状態の体をつくることです」(小島さん)
代謝状態をよくするには運動をするのも一策だが、肥満やメタボが気になる、日ごろの運動習慣がない人や、体調が優れない人にとって、いきなり運動を始めるのはハードルが高く、挫折しがちだ。そんな人に小島さんが勧めているのは食事リズムから整えること。以下のようにステップ1→2→3と段階を踏んで、改善していく方法だ(図3)。
多くの人はやせたいと思うと、まず、食事の量を減らすか内容を変えるかしたり(ステップ2)、サプリメントなどで特定の栄養素をとろうとするなど(ステップ3)、思いつくままに取り組みがちだが、何よりもすべきは、全ての土台になる食事のリズムを見直すこと(ステップ1)だと小島さんは強調する。
食事の時間や配分を変えるだけで効果あり
「例えば、朝食を食べていない人ならば朝食を食べるようにする。食事のボリュームが朝が少なく夜に偏っている人は、それを朝と昼にもってくる。また、夜食べる時間が遅い人は、夕方と帰宅してからに食事を分けて、帰宅後に食べる内容を軽くするなど、まず、食事の時間と配分を変えます。食べる時間は、朝食は午前8時まで、夕食は午後8時までが目安です」(小島さん)
なんと、メタボの人はこれを1週間続けるだけで、食事の全体量は変えなくても1kg以上体重が減ることが多いそうだ。
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