週に1回の体重チェックも忘れずに
これまで、肥満やメタボ改善の対策は摂取エネルギーを控えることだった。しかし、代謝には個人差があることは前に述べた。さらにいえば、代謝は同じ人でも日によって違う。女性は月経周期によっても変わってくるという。

「同じもの、同じ量を食べてもおなかがすく日とすかない日がありますよね。それって代謝の違いなんです。カロリーは参考にはなりますが、自分のエネルギー収支がうまくいっているかどうかをみる場合は体重が指標になります。1週間くらいのスパンで体重を量って、増えていたら、生活リズムに問題点がないかを見直したり、運動で消費を増やしたりしてみましょう。そうすると、今の自分に合う適切な食事量が分かってきます」(小島さん)
ここまでやって、やっと栄養バランスを整える3つのステップのうちのステップ2(食事の内容の見直し)に移れるのだという。
「食事の量を減らして一時的にグッと体重を落とすこともできますが、リバウンドしたり体調が悪くなったりしては意味がありません。一歩ずつ代謝を上げ、いいコンディションをつくっていくことが大事です。ステップ1で土台をしっかり作っておくと、ステップ2、3でやったことの効果が出やすくなります」(小島さん)
内臓脂肪多い人と少ない人で、「食事の質」に違いが
これまで、内臓脂肪が増えるのは食べ過ぎ(摂取エネルギーが多い)が主な原因だと考えられていたが、花王の研究でも、必ずしもそうではないことが分かってきた。
「内臓脂肪の蓄積と食習慣の関係を幅広く調査したところ、食べる量(摂取エネルギー)は同程度でも内臓脂肪が多い人と少ない人がいました。違うのは食事の『質』だったのです」(花王基盤研究セクターの高瀬秀人さん)
内臓脂肪が少ない人は、必ずしも食べる量が少ないわけではなかったというのだ。花王では、この研究を基に、しっかり食べても太らない食べ方のメソッド「スマート和食」を開発し、自社の社員食堂などで提供、メタボ改善に効果を上げている。次回は、小島さんの栄養バランスを整えるためのステップ2、ステップ3と、花王の「スマート和食」の詳細を紹介しよう。
管理栄養士、健康運動指導士、食コンディショニングプロデューサー

花王 基盤研究セクター 生物科学研究所 上席主任研究員
