記者も「プラス10cm歩行」で、歩行年齢が「-7歳」に!
ここまでの話で、一言で「歩く」といっても実に奥が深いことが分かった。自分は正しく歩けているのだろうか…と思った人もいるだろう。また、歩幅を10cm広げる「プラス10cm歩行」の効果はいかばかりかと、興味をもった人もいるに違いない。
そこで、取材班は実際に自分たちの歩き方を測定してもらうため、ある場所を訪れた。東京・墨田区にある花王の東京研究所だ。同社が金さんの協力を得て開発した、人の歩行のクセや歩行年齢が分かる「歩行支援プログラム」を体験するためだ。
歩行支援プログラムとは、人の歩行を科学的に解析する仕組み。床に敷いたシート式の圧力センサーの上を歩いてもらい、歩行速度、ピッチ(1分当たりの歩数)、歩幅、歩隔、歩行角度、つま先角度、足圧などを測定する。これを、過去2万人の歩行データに基づいて解析し、その人の歩き方の特徴を数値化して提示する、というものだ(詳しくは、下の動画〔約37秒〕、または歩行支援プログラムの解説サイトをご覧ください)。
具体的には、歩行年齢や今の体の状態(敏捷性、バランス力、筋持久力、筋力、正確性[左右均等に足を使えているか])、将来の自立度や気をつけたいポイント(転倒、筋力低下、尿もれ、ひざ痛、腰痛)などが表示される。これがチャートで示されるため、自分の弱点が一目で分かるようになっている(図7)。
我々も測定してもらったところ、記者Oは、40代後半にもかかわらず「歩行年齢は62歳」「バランス力が低く、ひざ痛の方と同じ特徴の歩き方」という結果が出た。歩行速度は毎時4.2kmと標準(毎時4.87km)より遅く、1分当たりの歩数を示す「ピッチ」も標準値の124に比べ113と低かった。
そこで、2回目の測定時、編集者Oは金さんからアドバイスされた「プラス10cm歩行」を意識し、普段より歩幅を10cm広げて歩いてみた。すると、歩行速度は毎時4.2kmから6.0kmに、ピッチも113から127にアップ。スピードが出たせいかバランス力も上がり、歩行年齢は55歳という結果が出た。
「プラス10cm歩行」は、確かに歩き方の改善につながるといえそうだ。
記者Oの1回目と2回目の比較
1回目の測定 | 2回目の測定 | ||
歩行年齢 | 62歳 | ![]() | 55歳 |
歩行速度 | 4.2km/時 | ![]() | 6.0km/時 |
ピッチ | 113歩/分 | ![]() | 127歩/分 |

- 次ページ
- 正しい歩き方を「続ける」コツは?
