スッキリ脳で午後もお仕事 眠気を抑えるランチ術
ランチでとんかつ定食を食べるとき、何から手を付けるのがいい?
西門和美=フリーライター
ランチの後は、睡魔に襲われて仕事がはかどらない。重要な任務があり、やる気もあるはずなのについつい居眠りしてしまう……。そんなお悩みを持つ人に知ってもらいたいのは、ランチの食べ順を見直すといったささやかな眠気防止のワザ。ただそれだけで、午後の覚醒度が違ってくる。お話を伺うのは、DeNAや吉野家など数々の企業に睡眠のオーダーメードソリューションを提供する会社ニューロスペースの小林孝徳さん。「技術を身に付ければ、眠りにまつわる悩みは解決できます」と話す小林さん。それでは早速、教えていただこう。
“食べる順番”が午後の眠気を左右する!
ランチタイムにとんかつ定食を食べるあなた。はじめに口に入れるのは、とんかつ? もしくは、添えてあるキャベツの千切り? ごはん?
「ランチの後も眠気に負けず、集中力を発揮して働きたいなら……一口目に選んでいただきたいのは、キャベツの千切りなどの野菜です」
そう話すのは、企業向けに睡眠のオーダーメードソリューションを提供するニューロスペースの小林孝徳さん。同じ定食メニューでも、その定食を構成する皿の中で最初に何を食べるかによって、午後の眠気が変わってくるというから興味深い。
「定食ではなく『お昼はおにぎりだけ、焼きそばパンだけ』という人も日中の眠気を感じやすくなりますから、ランチメニューの見直しをおすすめします。野菜サラダなどをプラスして、おにぎりや焼きそばパンよりも先に食べるようにしてみてください。食後の眠気が抑えられ、午後の生産性が上がるはずですよ」(小林さん)。
要は、最初に炭水化物を食べることをやめれば、血糖値の乱高下を防ぐことができるのだ。
「胃腸には、空腹のとき最初に食べたものを最も吸収しやすいという性質があります。そのため、炭水化物であるごはんや、やはり炭水化物であるパン粉がたっぷりついたとんかつなどをいきなり食べると、血糖値が急激に上がる。すると、高くなった血糖値を下げようとしてインスリンが過剰に分泌され、今度は血糖値が急激に下がる。その結果、眠気が誘発されてしまうのです」と、小林さん。
空腹のときにごはんやパンなどの炭水化物をいきなりとると血糖値の乱高下を招き、ひいては眠気を引き起こす。そこで考えられる緩和策は、食物繊維が多い野菜や海藻類などを最初に食べること。食事をすれば血糖値の変動は免れないが、食べる順番を考慮することによってその変化はゆるやかになる。すると、眠気もゆるやかになるというわけだ。
「最初に食べるものが炭水化物でなければ大丈夫。野菜サラダやおひたしがなければ、スープや野菜ジュースなどでも問題ありません」(小林さん)
具体的には、ランチにはできるだけサラダやスープ、野菜ジュースなどを添えて、ごはんや麺類、パンなどよりも先に食べるといい。それが難しい場合には、たとえばラーメン店に行くのであれば、その前にコンビニなどでサラダを買って食べたり野菜ジュースを飲むなど、ささやかな工夫をしてみよう。
午後の眠気を根本的に解決するためにはもちろん、日々の睡眠そのものを良質にする必要がある。しかし、こうしたワザを取り入れるだけでも、ランチ後のコンディションがずいぶんと改善されるはずだ。
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