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「危険ないびき」を撃退しよう

いびきや無呼吸がなくなれば、快適な目覚めが訪れる

第4回 CPAP、マウスピース、ナステントなど睡眠時無呼吸症候群治療の実際

 梅方久仁子=ライター

マウスピースなら軽症でも保険が使える

 SASの治療において、CPAP以外の治療法はどのような位置付けなのだろうか。

 マウスピースは、軽症のSASでも健康保険の適用になる。そのため、「AHIが20未満の場合、『全額自己負担でもCPAPを受けたい』と患者さんが希望しない限りは、通常はマウスピースを利用します」と村田院長。普段はCPAPを使っている人が、旅行や出張のときだけはマウスピースを使う、といった利用方法もある。

 マウスピースは、個人の歯型に合わせたオーダーメイドになるので、睡眠外来などで紹介状を書いてもらって、歯科で作成する。作成費用は場合によって異なるが、だいたい1万数千円程度だ。

 マウスピースの効果のほどはどうだろう。

 「実は、マウスピースで無呼吸が防止できるという科学的根拠は、厳密にはありません。どこまで下顎を前に出すか、という条件が人によって異なるため、臨床試験で確認するのが難しいんですね。軽症の人なら無呼吸の頻度が半分くらいに減ることは確認されています。でも、残念ながらCPAPのようにゼロにはなりません」と村田院長。

話題の「ナステント」の実力は?

患者からの問い合わせが増えているという「ナステント」。一般医療機器として販売されている。(写真提供:セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ)
患者からの問い合わせが増えているという「ナステント」。一般医療機器として販売されている。(写真提供:セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ)

 一方、テレビ番組で紹介されるなどして最近話題になっているナステントはどうだろうか。鼻から細くて軟らかいチューブ(ナステント)を差し込むだけのこの治療法、CPAPのようなマスクの装着は不要で、電源も要らず、装着したまま会話も可能で、寝返りも簡単に打てるなどの手軽さが魅力だ。

 購入に当たり、最初は自分に合った長さや硬さを選択するためのフィッティングが必要だ。メーカーのホームページからお試しセットを購入して自分で行うこともできるが、できれば取り扱っている医療機関や販売店で、フィッティングを依頼したほうがいいだろう(*3)。

 「ナステントを希望して当院を受診する患者さんは増えていますね。希望者には試してもらっていますが、鼻から入れて口蓋垂(のどちんこ)の裏あたりまで差し込むために、強い異物感を感じ、使用をあきらめる患者さんもいます。CPAPの保険適用にならない比較的軽症のSASの患者さんで、異物感が気にならない人は、上手に利用してみるといいのではないかと思います。例えば飛行機の中で眠るときや、旅行でCPAP機器を持っていけないときに活用するといった方法も考えられます」(村田院長)

 ただし、ナステントの場合、無呼吸の頻度は減少するものの、中等症以上のSAS患者には推奨されていない。また、生存率に与える影響についても、今後の臨床データの蓄積を待たなければならない。「CPAPなら完全に無呼吸がなくなりますし、無治療の場合と比較してSAS患者の生存率を維持する効果も実証されていますので、CPAPが使える人には、まずはCPAPをお勧めします」(村田院長)。

 ナステントには健康保険の適用はなく、1回ずつ使い捨てなので、1週間分(7本入り1箱)で4536円(税込)かかる。ひと月では1万8000円以上になる計算だ。メーカーのホームページによると、定期購入やまとめ買いをすると割引になるようだが、毎日使い続けるには相応の費用負担が必要だろう。

*3 ナステントの取り扱い施設は販売元であるセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズのホームページで確認できる(https://nastent.sevendreamers.com/handling_facility/)

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村田 朗(むらた あきら)医師
御茶ノ水呼吸ケアクリニック 院長
村田 朗(むらた あきら)医師 1983年日本医科大学卒業。専門は睡眠時無呼吸症候群、COPD。国内の睡眠時無呼吸症候群治療の中心的な存在であり、年間2万4000人の患者数は国内でもトップレベル。2003年2月26日、山陽新幹線の運転手居眠り事故の原因として、当時まだ認知度が低かった「睡眠時無呼吸症候群」を初めて大々的にメディアで取り上げたことでも知られる。

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