いびきの原因は日本人特有の「平たい顔」だった!
第1回 「いびき? 特に困っていないし…」と思っていませんか?
梅方久仁子=ライター
家庭内の騒音問題として扱われがちな「いびき」。だが、「たかがいびき」とあなどってはいけない。いびきを放置すると、血液の酸欠状態が続き、様々な合併症を引き起こして、突然死を引き起こすことも十分にあり得るのだ。いびきの原因とそれに伴う健康障害、そして治療の実際について、御茶ノ水呼吸ケアクリニックの村田朗院長に聞いた。

「パパのいびきは、うるさいからイヤ!」と家族に言われて、しょぼんとしているアナタ。「娘に嫌われるのは悲しいけれど、生理現象だし、特に日常生活に困っていないし」と軽くみてはいないだろうか。「たかがいびき」とあなどってはいけない。いびきを放置すると、血液の酸欠状態が続き、ある日突然、急性心不全で…という不幸な結果も十分にあり得るのだ。
「私は太っていないし、いびきなんてかくはずがない」と思っている人も、油断は禁物だ。本人は眠っていて自覚がないのが、いびきの困ったところ。実は、やせていても若くても、日本人にはいびきをかきやすい骨格の持ち主が多いという。
いびきとそれに伴う健康障害について、御茶ノ水呼吸ケアクリニックの村田朗院長に聞いた。第1回は、いびきがなぜ起こるのか、いびきをかいているときに体の中で何が起こっているのかについて紹介しよう。
いびきは、睡眠中に呼吸がしづらくなっている証拠
いびきとは、そもそも何だろう。
「いびきをかいている人の様子を観察すると、『ぐぁ~、ごぉ~、ぐぁ~、ごぉ~』と、呼吸に合わせて規則正しく音が聞こえてきます。もし空気がスムーズに流れていれば、音など聞こえません。いびきは、空気の通り道(気道)が狭くなったために、呼吸の際に気道の壁が震えている音。つまり、呼吸がしづらくなっている証拠なのです」と村田院長。
気道が狭くなる原因は、後で詳しく説明するが、生まれつきの骨格の影響が大きい。顎が小さい人は舌が顎の中に入りきらずに持ち上がってしまうため、空気の通り道が狭くなるのだ。そういう人が眠るために横になると、重力で舌や軟口蓋(上あごの奥の軟らかい部分)が気道の方に下がってくる。そしてぐっすり眠り込むと気道周囲の筋肉が緩むため、さらに舌が下がる。そうして、もともと狭い気道がさらに狭くなったところを空気が通るために、呼吸のたびに気道壁が震えて、いびきをかくのだ。
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- 血中の酸素が不足すると「危険ないびき」に