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「危険ないびき」を撃退しよう

いびきの原因は日本人特有の「平たい顔」だった!

第1回 「いびき? 特に困っていないし…」と思っていませんか?

 梅方久仁子=ライター

重症のSASではエベレスト並みの酸素不足に

 村田院長によると、重症のSASでは、通常は98%程度ある酸素飽和度が、80%台か、場合によっては60~70%台まで低下する。「意識があるときに、がまんして息を詰めても、酸素飽和度は96%くらいまでしか下がりません。それ以下になると苦しくて、とても息を止めてはいられなくなるのです。90%を切ったら呼吸不全状態のため、睡眠中の酸素飽和度80%台というのが、いかに酸欠の状態かが分かるでしょう」と村田院長。

 ちなみに、60~70%台の酸素不足というのは、エベレストに登ったときの状態と同程度だという。いきなりこの状態に陥ると失神してしまうので、通常は酸素ボンベが必須になる。だが、SASではもともと眠っていて意識がないので、低呼吸や無呼吸を繰り返すことによって、意識があるときには起こり得ないほど酸素飽和度が下がってしまう。

 やがて極度の酸素不足になると、脳があわてて覚醒し、「喉を開けて呼吸をしなさい!」と指令を出す。すると軟口蓋と舌が上がり、瞬時に呼吸が再開する。新鮮な空気が入ってくると全身が楽になり、また眠る。すると、また筋肉がゆるんで舌が落ちてきて気道が狭くなり…という繰り返しになるわけだ。

一番の原因は、日本人特有の「平たい顔」

 ここまでの説明で、自分もひょっとしてSASではないかと、気になってきた方も多いだろう。

 ここで注意したいのが、「睡眠時無呼吸症候群は、太った人がなるもの」というイメージは必ずしも正しくないということだ。「確かに、太った人は首回りにも肉がつきますので、それが原因で気道が狭まり、SASになるケースも多いです。しかし、SASは肥満の人だけがなるもの、という認識は間違いです。小顔でやせ型の人にも、SASは非常に多いんですよ」と村田院長。

 村田院長によると、SASの一番の原因は骨格。日本人を含む東アジア人は、基本的に頭部が上下に長くて奥行きが狭く、白人と比べるとペチャンコの顔をしている。「ヤマザキマリさんの人気コミック『テルマエ・ロマエ』では、現代日本人を『平たい顔族』と呼んでいましたが、まさにその通り。日本人は平たい顔だから、もともと顎が小さくて、気道が狭いのです」(村田院長)。

 顎が小さいと、舌が口の中で持ち上がり、上顎の軟らかい部分(軟口蓋)と近づく。この状態を医学用語では、「軟口蓋低位」という(下図)。軟口蓋低位型の人は、気道が狭まるために、いびきが起きやすいが、基本的に骨格の問題なので、本人の努力ではどうしようもない。

図2 軟口蓋低位型の人の発声時の様子
図2 軟口蓋低位型の人の発声時の様子
口を開けて声を出したとき、軟口蓋低位型の人は舌と軟口蓋が近づき、口蓋垂が隠れている。こうしたタイプの人は気道が狭いために、いびきが起きやすい。(村田院長提供の図を基に作成、イラスト:三弓 素青)
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