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「怒り」との上手な付き合い方

“怒る脳”を鎮める「脳内物質」でイライラ解消!

セロトニン、オキシトシン――“幸せホルモン”で「怒りにくい人」に

 山口佐知子=ライター

「怒らずにいられた自分」を自分で褒めることも効果的

<b>柿木隆介</b>さん。自然科学研究機構 生理学研究所教授。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医。専門は神経科学。著書に『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社)、『記憶力の脳科学』(大和書房)など。
柿木隆介さん。自然科学研究機構 生理学研究所教授。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医。専門は神経科学。著書に『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社)、『記憶力の脳科学』(大和書房)など。

 イライラしたりしているときは、まずはこれらの方法を試してみよう。

 「自分に合う対処法が見つかって、怒りの感情が和らぐ効果を実感できたら、その効果を意識することも大切です。そして、『怒らずにいられた自分を褒める』ことを実践してください。口に出さずとも、『よく我慢できた』『偉いぞ、自分』などと心の中で褒めるだけでも十分です」(柿木さん)

 「褒められることは、人間にとって快感のひとつ。脳には快感を覚えると学習するという働きがあるので、怒りの感情が生じるたびに抑制がききます。こうした経験を繰り返すうちに脳が学習して、徐々に怒りに振り回されないようになっていきます」(柿木さん)

なぜ「怒りやすい人」が増えているのか?

 第1回でも触れたように、最近は「怒りやすい人」が増えていると感じることが多くなった。今の“怒りの現状”を脳の専門家である柿木さんはどう見ているのだろうか。柿木さんは、現代人に怒りやすい人が増えたように感じる背景には、2つの変化があると考えている。

 1つは、「小さな怒りの感情でも、すぐに言語化してしまうこと」だという。

 「今は怒りの感情を安易に表現するフレーズ(語彙)が増えたこともあり、とっさに言葉として口から発しやすくなっています。例えば、「ヤバッ(ヤバイ)」「うざっ(うざい)」「はぁ?」といったフレーズです。これらのフレーズは、言う側と受け取る側で相当の温度差があります。言う側はとくに罪悪感もなく、反射的に口をついて出たとしても、受け取る側には怒りの感情が芽生えやすいものです。このため、原因はささいなことであっても、『「怒りが怒りを呼ぶ』状態につながりやすいと考えられます」(柿木さん)

 「『ハラスメント』に対する過剰な反応」も怒りやすい人が増えた理由ではないかと柿木さんは指摘する。

 「最近の日本では、『パワハラ』や『セクハラ』『モラハラ』といったハラスメントという概念が浸透して、相手に訴えられることが怖くて、怒りたくても怒れない状況が増えています。そうした人たちの抑圧された怒りの感情が、公共機関や官僚といった“公の人”に向けられやすいのでしょう。また、『お客様は神様』という日本的な考え方も最近は少し行き過ぎにも感じます。これも背景の1つではないでしょうか」(柿木さん)

柿木隆介(かきぎ・りゅうすけ)さん
自然科学研究機構 生理学研究所教授
柿木隆介(かきぎ・りゅうすけ)さん 1978年、九州大学医学部卒業後、同大学医学部付属病院(内科、神経内科)、佐賀医科大学内科に勤務。1983~85年、ロンドン大学医学部留学、1993年より岡崎国立共同研究機構生理学研究所(現、自然科学研究機構)教授。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医。専門は神経科学。著書に『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社)、『記憶力の脳科学』(大和書房)など。

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