考えるトレーニングで「怒り体質」は徐々に変わっていく
「対症療法」でとっさの怒りを防ぎ、「体質改善」で「怒りにくい人」に
山口佐知子=ライター
「べき」「絶対」「必ず」は使わない
怒りが込み上げてきたとき、つい怒りにまかせて余計なひと言を言ってしまい、後から後悔した経験がある人は多いだろう。「言葉にしなければ、とりあえず大ごとにはなりにくいものです。実際、怒りに振り回されない人は、意識的に“いくつかの言葉”(NGワード)を口にしないように心がけています」と安藤さんは話す。
代表的な「NGワード」は、「べき」「絶対」「必ず」「前から」「いつも」などだ。これらの言葉を口にしないことで、相手の怒りを誘発するリスクを下げ、深刻な問題に発展するのを防ぐことができる。
上記のようなフレーズは、誰もがうっかり口にしてしまいそうなものばかり。これらは、言い方を変えることで相手の怒りを誘発せず、円滑なコミュニケーションにつながる。「これらのNGワードを使いそうになったら、一度グッと飲み込んで、もっと別な言い方を探る習慣を身につけるようにしましょう。日常的に口にする言葉を意識して考えることは、怒りの感情をコントロールするための効果的なトレーニングになります」(安藤さん)
また、安藤さんは、とにかく穏やかな口調を心がけ、怒ったときほどゆっくり話すことを心がけるべきだとアドバイスする。「人間の受け取り方は不思議なもので、言葉の意味より、言い方の方が印象に残るものです。『何を言うか』より、『どう言うか』が重要なのです。怒っていても、穏やかな口調を心がけ、ゆっくり話すようにしましょう。それだけで印象はガラリと変わります」(安藤さん)
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7月29日公開の次回では、ヒトのからだと脳の働きを研究している自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介先生に、怒りと脳の関係について話を聞いていく。
日本アンガーマネジメント協会代表理事
