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「怒り」との上手な付き合い方

怒りやすい人は病気になりやすい? 思いに任せた「怒り」は百害あって一利なし

「怒り」の感情をプラスに好転させる方法を身につけよう

 山口佐知子=ライター

「怒り」の感情をプラスに好転させる

 「怒り」の感情は、マイナスの部分だけでなく、実は、物事をプラスに好転させるきっかけになる可能性もある。そのキーワードとなるのが、「アンガーマネジメント」という考え方だ。

 アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うためのトレーニングのこと。「怒らなくなる」ことを目的にするのではなく、「怒りの感情とうまく折り合いをつけていくための考え方の習慣付け」であり、アンガーマネジメントを学ぶことで、自分の怒りを理解し、怒りの感情とうまくつきあい、ポジティブな考えを生みだすことにつなげようというものだ。

 「最近では、怒りの感情は発奮材料にもなり、モチベーションを上げるエネルギーとなり得るということから、プロのアスリートもトレーニングの一環として取り入れるケースが増えています。例えば、テニスの世界的トッププレイヤーとして名高いロジャー・フェデラー選手も1990年代の後半からアンガーマネジメントを学んでいます」と安藤さんは話す。

 かつてのフェデラー選手は、ミスショットをしてしまった後は自分のラケットを投げて激高するなど、明らかに怒りの感情をコントロールできないケースが目立った。その後、メンタルトレーニングとしてアンガーマネジメントを学び、プレー中に湧く強い怒りの感情を、みずからを鼓舞させるエネルギーに替えることができるようになっていったと言われる。その後、4大大会で多くのタイトルを何度も手にしているフェデラーの活躍ぶりは周知の通りだ。

 こうした効果のため、アメリカのプロスポーツの世界では積極的にアンガーマネジメントを取り入れているという。「例えば、アメリカンフットボール(NFL)では新人選手にアンガーマネジメントの受講が義務付けられています」(安藤さん)

怒りには5つの性質がある

 アンガーマネジメントは、スポーツ選手ばかりが対象ではない。前述したように、日本でも社員教育に導入する企業が増えている。怒りの感情によって時間や労力を浪費するのを防ぎ、職場の人間関係をよくしてチーム力を高めようという狙いだ。

 「怒りっぽい上司のもとでは、部下は委縮していまい、能力を発揮する機会を失ってしまいます。そういった上司の下ではチームで結果を出すことはできませんし、部下も定着しません。実際、上下関係が悪い職場では仕事の生産性が落ちます。これは実感されている方も多いと思います。日本アンガーマネジメント協会が今年3月に実施した調査でも、上司に怒られた後の業務状況について、モチベーションの低下やイライラして仕事に手が付かなくなったといった回答が多く寄せられました」(安藤さん)

 アンガーマネジメントの手法は、会社などでの研修を待つことなく、個人がすぐにでも実践できる。そのファーストステップは、「怒りの性質」を知ることだ。安藤さんは「怒りには5つの性質がある」と説明する。

[画像のクリックで拡大表示]

 いずれの項目も納得するものばかりだろう。子どもに怒りをぶつけてしまう、駅員への暴力や飲食店の店員につい声を荒げてしまうといった行為は、まさに怒りの性質(1番目)をそのまま映し出している。

 7月26日公開の次回では、アンガーマネジメントの具体的なメソッドを学んでいく。

安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)さん
日本アンガーマネジメント協会代表理事
安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)さん 1971年群馬県生まれ。外資系企業、民間シンクタンクなどを経て渡米。アンガーマネジメントの理論、技術を習得。「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。企業や医療機関などで多数の研修、セミナーを担当する。主な著書に、『怒りに負ける人 怒りを生かす人』(朝日新聞出版)、『イラッとしない思考術』(ベストセラーズ)、『「怒り」のマネジメント術』(朝日新聞出版)など。

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