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「怒り」との上手な付き合い方

怒りやすい人は病気になりやすい? 思いに任せた「怒り」は百害あって一利なし

「怒り」の感情をプラスに好転させる方法を身につけよう

 山口佐知子=ライター

シニア、若者、それぞれ「怒りやすくなる」理由がある

 一般に「年齢を重ねると怒りっぽくなる」と言われる。その一方で「キレる若者」が問題になっているように、怒りをコントロールできない若者も増えているとも言われる。安藤さんは、「年齢や世代によって、怒りにつながる理由がそれぞれあります」と話す。

 60代以上のリタイア後の世代の場合、「『経済的に豊かになっていると思っていたのに現実は違っていて、それほど余裕があるわけではない』『もっと世の中から大切に扱われていいはずの年代なのに、思ったほど大事にされていない』という理想と現実とのギャップがあって、やり場のない怒りを抱えているケースが少なくない」(安藤さん)

 一方、子供や10代などの若者世代の場合、言語の表現能力の低下が「怒り」を増やしている要因の一つになっていると安藤さんは説明する。

 「今は、スマホなどのデジタルデバイスを使えば、スタンプや絵文字だけでも会話ができる時代になっています。つまり、言葉を使って自分の気持ちを相手に伝える機会が減っているのです。こういった環境に慣れてしまうと、コミュニケーション能力が落ち、感情の行き違いも生じやすくなります。言語の表現能力が低いと怒ったときに大きな声を出しがちになります。表現能力があれば、適切な言葉を選んで伝えられるわけですが、それができずに大声を出してしまうのです。極端なケースでは手を出してしまいます」(安藤さん)

怒ることは精神面だけでなく、健康面にもダメージを与える

 このように、私たちは、昔と比べて怒りやすくなる環境で暮らしている。ささいなことで怒ってしまった場合、「なぜ、あんなことで怒ってしまったのだろう」「こうなるなら、怒るんじゃなかった」などと、自己嫌悪や後悔で頭を悩ませたり、落ち込んだりすることも少なくない。

 驚くべきことに、怒ることは精神面だけでなく、健康面にもダメージを与えることが最近の研究で明らかになってきている

 「米国立老化研究所の研究で、『競争心が強く攻撃的な性格の人は、心臓発作や脳卒中のリスクが高い』という結果がでています」(安藤さん)。米国立老化研究所は、イタリアのサルディーニャ島の14~92歳の5614人の男女を対象に性格テストを行った。その結果により「怒りっぽい」グループと「温厚・寛容」グループの2つに分け、それぞれ調査したところ、「怒りっぽい」グループのほうが「温厚・寛容」グループよりも、心臓発作や脳卒中を引き起こす頸動脈肥厚が多くみられた(Hypertension;2010:56(4),612-622.)。

 国内でも大阪府立健康科学センターの研究で、怒りを内にためやすい人は高血圧症リスクが高くなるという疫学研究結果が報告されている。秋田、茨城、大阪、高知の4地域の住民を対象に、高血圧者4970人を4年間追跡調査した結果、男性では怒りを内にためることが高血圧発症リスクを1.5倍高めるという(心身医学;2004:44(5), 335-341.)。

 また、昨年3月には、米ウォールストリートジャーナルが、「怒りの感情は、心臓発作を起こすリスクを通常より8.5倍も高める」という研究結果を報じている。 この記事によると、オーストラリアの急性心血管診療所が、心臓発作を起こした300人以上の患者を対象に、発作が起こる前の48時間に「なんらかの怒りの感情を経験していたかどうか」を質問した。その結果、激しい怒りの感情を経験した人は、2時間以内に心臓発作を起こすリスクが通常よりも8.5倍も高いことがわかったという。

 このように、「怒り」に振り回されていると、我々の「健康」面においてもマイナスになる可能性が高いわけだ。

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