がんの手術前後や治療開始後に、妻が夫にお願いしたいこと
卵巣がんサバイバーが提案する がんになった妻の支え方(2)
太田由紀子=産業カウンセラー/フリーライター
手術の傷です。これはがん罹患者だけでなく、手術を受ける多くの女性が体験することだと思いますが、自分のお腹や胸に傷が残る経験はとても辛いものです。
出産が帝王切開だった女性も少し感じるのではないかと思いますが、出産という、喜びを伴う手術とは異なり、病気のために受けた手術の傷は悪者を摘出するために付いた傷なので、後悔を伴います。
私の場合、手術直後、傷は二重にテーピングされていました。医師に外側の大きいテープを取ってもらった後も細かいテープが貼ってあるので傷跡がよく分からず、全貌が見えたのは、一人でシャワーを浴びた時でした。
赤黒く長い傷跡がお腹にあるのを見た時、ものすごくショックでした。いつの間にか大泣きしながら、自分のお腹に「ごめんね」と何度も言っていました。
どんな年齢でも、体形がふくよかでもスレンダーでも、お腹にザックリと無残な傷があるのを見てショックを受けない女性はいないと思います。いくつになっても女性は綺麗でいたいものですから。そんな妻の気持ちに寄り添ってください。
傷を見せられた夫もショックだと思いますが、その気持ちを共有して優しく接してあげてください。
子どもも見たら驚くと思いますが、いずれは分かるもの。母親が受けたダメージの大きさに目をそむけずに、早めに見せた方がいいと思います。子どものショックに寄り添うのも夫(父)の役目です。
抗がん剤治療のフォロー
私は手術後、病理検査でがんのステージが上がり、予防のために抗がん剤治療を受けました。いよいよ抗がん剤治療の始まりです。
私の場合は、毎月2泊3日で入院し、6クール(6カ月間)抗がん剤治療を受けましたが、がんの種類や治療の進め方によって、その回数や入院の有無は異なるようです。副作用は似通ったものもありますが、症状の出方は人それぞれです。
抗がん剤治療のイメージに惑わされず、妻特有の副作用に向き合って
抗がん剤治療を受ける患者に、どんなイメージを持っていますか? ドラマの中に出てくるように、やせ細り、脱毛し、いつも嘔吐する…。そんな暗い、辛くて怖いイメージでしょうか。
実際、私もかなり辛い思いもしましたが、副作用は多岐にわたり、思っていたより辛くない症状や、想像もしていなかった経験もしました。個人差がずいぶんあると思います。妻が言う辛い症状をよく聞いて、その時間が楽に過ぎるよう、寄り添ってほしいものです。
ここからは、私に出た副作用と卵巣がん体験者の会スマイリー(2016年最新)のデータを基にご提案します。
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