ウォーキング、サイクリングでも心拍トレーニング効果を実感
ランニングによる体力アップで他種目もパフォーマンス改善
松尾直俊=フィットネスライター
胸や手首に装着する心拍計のデータを基に、最適な運動負荷を決める「心拍トレーニング」。かつては心拍数を測る専用機器の操作が難しかったり、パソコンとの連携や設定が複雑だったりしたが、今は機器の価格が手ごろになり、スマートフォンとの連携などによって操作性も向上。一般ユーザーにも身近なトレーニング法になってきた。
第1回の記事では心拍トレーニングの効果、メリットを、第2回は心拍計の人気製品を紹介した。最終回の今回は、第3回に続いて、本コラムの筆者が実際にウォーキングやサイクリングなどのトレーニングを実践し、心拍トレーニングの効果を検証した。
第3回の記事でお伝えした筆者の心拍トレーニングの体験ルポでは、運動強度を最大心拍数の80~90%の心拍数になるように設定して、12分間での走行距離で体力レベルを判定する「クーパー走」を3回実践した。この時の運動強度は、日々の運動不足を解消し、「持久力、および筋力の向上」を目的とした設定だった。
その結果、走行距離が1.91kmから2.15kmまで伸びた(ペースが速くなった)うえに、平均心拍数は159回/分から155回/分に減った。つまり、ランニングの持久力が高まったことを意味する。加えて、運動翌日の筋肉疲労も減り、筋力の向上も実感できたのだ。
2回目のウォーキングで平均心拍数が115に減少
こうした運動能力の向上は、他のトレーニングでも現れるのだろうか。今回は、12分間走の前に体慣らしの目的で実践した「地下鉄2駅」分のウォーキングを、10分/kmと同じ歩行ペースで再び行った。その結果、平均心拍数は127回/分から115回/分に、最大心拍数は147回/分から124回/分に低下した。つまり、12分間走で培った持久力や心肺機能の向上が、ウォーキングにおいても認められたことになる。
実施日 | 運動時平均心拍数 | 運動時最大心拍数 | 平常時平均心拍数 |
7月11日 | 127 | 147 | 90 |
7月25日 | 115 | 124 | 84 |
加えて、体力の程度を判断できる平常時心拍数も計り直してみた。心拍トレーニングを実践する前は約90回/分という平常時心拍数で、「体力不足、または体調不良」に分類される値だった。それに対して、今回の測定結果は84回/分まで下がった。一般の健康な人の平常時心拍数は60~80回/分とされており、この範囲には少し及ばなかったが、体力レベルの改善も進んだことを確認できた。
これらの数値改善に気を良くして、次はサイクリングを実践してみることにした。実は、心拍計を自転車に設置して数値を確認しやすいという理由から、心拍計を愛用するサイクリストは多い。筆者にとっては、半年ぶりのサイクリングになるが、果たしてどんなパフォーマンスが出せるのだろうか…。