あなたのトレーニングにぴったりの心拍計は?
安くて、正確、使い勝手も向上! 6製品を機能比較
松尾直俊=フィットネスライター
胸や手首に装着する心拍計のデータを基に、最適な運動負荷を決める「心拍トレーニング」。かつては心拍数を測る専用機器の操作が難しかったり、パソコンとの連携や設定が複雑だったりしたが、今は機器の価格が手ごろになり、スマートフォンとの連携などによって操作性も向上。一般ユーザーにも身近なトレーニング法になってきた。
第1回の記事では、メタボリックシンドローム解消や筋力増強、健康増進にはウォーキング、ランニングなどに『心拍トレーニング』を取り入れることが効率的で、長続きもしやすいことを解説した。今回は、心拍トレーニングに欠かせない心拍計について、人気の製品を紹介しよう。
まずは「心拍トレーニング」のメリットを簡単におさらいしておこう。運動は強度が低ければ筋力や体力を向上させる効率が悪くなり、逆に強過ぎると関節や体への大きな負担となり、故障の原因となってしまう。運動の強度と伴って高くなる心拍数を指標として、運動負荷を最適にコントロールすることで、運動の効率を上げるとともに、故障のリスクも減らせるのだ。
心拍トレーニングのメリット |
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・その人に最適な強度で運動するので、長続きしやすい |
・強すぎる運動負荷をかけないことにより、疲労やケガのリスクを減らせる |
・運動負荷が弱すぎる状態にならず、持久力や筋力、骨密度の維持・向上が期待できる |
・ダイエットや生活習慣病の改善、身体能力の向上が期待できる |

第1回の記事で述べたように、心拍数は手首などに指を当てて測る方法もあるが、運動中にこの方法で測るのはかなり難しい。このため最近は胸や手首にあてたセンサーで測定する心拍計を使う人が増えている。運動中に測定できる心拍計が登場したのは1982年のこと。フィンランドのポラール・エレクトロ社が世界で最初に製品化し、当初は運動能力を効率的に高めたいアスリートやスポーツ愛好家などがトレーニングに取り入れていた。
とは言え、製品の使い勝手にはまだ改善の余地があったのも事実。実際、筆者も他社製の初期の製品を使ったことがあるが、装着感が悪くて、脈拍を測るにしても精度がやや低く、時計を見ながら指で測った方が正しいということもあった。
腕時計型の心拍計が安価、正確に
それが2000年代に入ると、特に胸にセンサーを付けるタイプは測定精度が上がり、正確に計測できるようになってきた。併せて、心拍計に組み込まれた加速度センサーやプログラムによって、活動量も計測できるようになった。また、GPS機能やスマートフォンアプリとの連携によって、運動した場所やコースを記録して可視化できるので、トレーニング継続の意欲向上にもつなげられるようになってきた。
そして、価格も手頃になり、一般人も手軽に利用できるようになっている。10~15年前であれば、心拍計と心拍センサーのセットで十数万円。それが今では高性能モデルでも2万円台から購入できるようになっているのだ。「かつては腕時計型の手首で心拍数を計測するタイプは精度に問題があったが、近年はほぼ解消してきた。アップルやFitbitなどが心拍数も測れる汎用の腕時計型端末を販売し、CMで認知を広げてくれている効果もあって、販売数も伸びている」とポラール・エレクトロ・ジャパンの齊藤陽一郎マーケティングマネージャーは言う。
実際、数多くの市民ランナーが走っている光景を見ていると、以前より心拍数計測機能のある時計型端末をしている人の割合が増えているようだ。
次ページからは、数千円で購入できる廉価な心拍計付き製品と、数万円の高機能製品、睡眠管理などにも使える汎用製品の代表的なものを紹介しよう。 いくつかの製品は胸にセンサーを装着しなければならないが、それが煩わしいのであれば、手首で完結しているものを選べばいいだろう。