つらい“花粉症”には緑茶がいい!? 抗アレルギー作用を持つ注目のお茶とは
第5回 茶畑から生まれた機能性表示食品「べにふうき緑茶」――農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 山本(前田)万里さんに聞く
柳本操=ライター
経皮からもアレルギーを抑制
山本さん メチル化カテキンは口から飲むだけでなく、経皮吸収によってもアレルギーを抑制できます。鼻が詰まってつらいときは、家にいるときであれば、コットンにべにふうき緑茶をひたして鼻に詰めたり、主婦湿疹やアトピーの場合は、お風呂にべにふうき緑茶を入れるといいでしょう。べにふうき茶エキスを配合した入浴剤も販売されていて、「ざらざらした皮膚がすべすべになった」と好評です。このように皮膚や粘膜を通過しやすいのもメチル化カテキンの特徴です。
べにふうきに関して、今後はどのように研究を進める予定ですか?
山本さん べにふうき緑茶を含め緑茶は今、海外、特にヨーロッパで注目を集めています。かつて赤ワインに含まれるレスベラトロール(ポリフェノールの一種)による“フレンチパラドックス”が話題になりましたが、「その次に注目すべきはお茶!」という流れになるのではと期待しています。実際、ドイツにも緑茶専門店が多いのですが、「べにふうきがアレルギーにいいらしい」と人気を呼んでいるそうです。日本発の農産物として今後も積極的にアピールしていきたいと思います。
べにふうき緑茶のその他の効能として、「脂質代謝を改善する」「血圧上昇を抑制する」といった研究成果も出ています。ただ、一つのお茶にいろいろな機能性を持たせるのは、消費者にとっては「何にでも効くなんて怪しい」と受け止められかねない、という側面があります。今後は、目的の症状に特化した茶品種を増やしていき、みなさんの健康に役立てていただければと考えています。
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5回にわたってお届けしてきた緑茶連載も今回でひとまず終了します。身近な存在でリーズナブルに飲める緑茶は、カラダのさまざまな場所で働き、健康アップに役立ちます。オフィスなどではペットボトル、そして家庭ではぜひ急須でお茶を入れて、毎日の元気にお役立てください。
農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 食品健康機能研究領域・領域長
