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長寿の秘訣! 知られざる緑茶の健康パワー

お茶は「ストレス」「不眠」にも効果あり! 緑茶パワーをフルに活かす“いれ方”とは?

第2回 今、注目の健康成分 「テアニン」の効果 ~大妻女子大学名誉教授 大森正司さんに聞く(後編)

 柳本操=ライター

世界各国にお茶の木のルーツ探しの旅へ

先生は、最初は農薬の研究者だったそうですね。どうしてお茶の研究に携われるようになったのですか?

大森さん そうなんです。私は低毒性のアミノ酸農薬の開発を行い、それで学位を取得しました。ところが恩師である小幡弥太郎先生が、あるとき摘んだばかりの日本茶の葉をボストンバッグいっぱいに持ってきて『これで紅茶を作れ』と、私に指示したのです。正直、嫌でしたが偉大な先生の言うことには逆らえず、本を調べながらやってみました。ところが一週間後には貴重な茶葉をカビだらけにしてしまったのです。

 『おまえ、何をやっているんだ』と先生に叱られ、静岡の茶業試験場を訪ねて教えを請うことにしました。そこで、大変親切に教えていただき、何度も通ううちに、私はすっかりお茶のとりこになってしまい、その後50年が経ってしまったというわけです。最初のうちは、お茶の色や味の成分の化学的分析を行っていましたが、その後、薬理効果を調べるようになりました。血圧試験を行うと非常にいい結果が出ました。その結果を報告する国際会議が日本で開催されたのが1991年。新聞で大きく取りあげられたことによって、緑茶の研究に弾みがついたのです。

現在は、どういった研究をされているのですか?

大森さん 近年は、海外によく出かけています。お茶の生産地である中国とミャンマーの2国に出かけた回数は20回に及びます。日本茶はその昔、中国から持ち込まれたのが始まりとされていますが、果たして本当に日本には自生していなかったのか、そのお茶のルーツを調べることがここ数年の渡航目的となっています。

 具体的には、日本茶と海外の茶葉の遺伝子を照らし合わせています。中国から緑茶がもたらされたのであれば、日本茶の葉は全て中国の茶葉の遺伝子を持っているはず。しかしそこにもし、中国の葉にはない遺伝子があれば、日本茶が自生していたという可能性が生まれます。お茶がもたらされたのが中国だけでなく、タイやベトナム、ミャンマーである可能性もあるため、各国に足を運んでは、樹齢1000年以上の“マザーツリー”といわれる木の葉っぱを持ち帰って調べているのです。

先生が自ら足を運ばれているのですか。

大森さん もちろんです。たとえば中国の雲南省の山奥などには樹齢1000年以上の茶の木が60本以上あるといわれます。しかしまだ10本ほどしか調べ終わっていません。車も入らない道を少数民族に案内され、道中では地面や空中から血を吸いにやってくるヒルと格闘し、夜は民泊です。料理はおいしいのですが、寝るところは虫だらけです。トイレは、豚さんが口をあけて下で待っているような場所になっており、なかなか過酷なものがあります。

 ミャンマーなどでは、ガスも電気もないところも多くあります。食べ物の保存方法は3種類。いろり(囲炉裏)に載せて乾燥する、煙突の煙を当てて燻製にする。あとは、竹に詰め込んで酸素を遮断して発酵させる。お茶の漬物もあって、大変興味深いですね。体力が続く限り続けたい、ライフワークです。

      ◇     ◇     ◇

 次回は、「血液サラサラ」という言葉の生みの親であり、緑茶を「食べる」という健康法に着目している、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅さんに話を聞く。

大森正司さん
大妻女子大学名誉教授、大妻女子大学「お茶大学」校長
大森正司さん 昭和17年、宮城県出身。東京農業大学大学院農芸化学専攻博士課程修了。大妻女子大学教授を経て、現在同大学名誉教授。大妻女子大学「お茶大学」校長。農学博士。お茶博士としてメディアでもわかりやすく日本茶の健康効果を伝える。著書に『茶の科学』(朝倉書店)、『おいしいお茶の教科書』(PHP研究所)などがある。

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