やっぱりすごかった! 緑茶の健康効果
第1回 ダイエットから腸活まで、 「カテキン」の隠された効果とは? ~大妻女子大学名誉教授 大森正司さんに聞く(前編)
柳本操=ライター
カテキンは「ポリフェノール」の仲間
なかでも注目されている成分といえば「カテキン」ですね。特定保健用食品の認定を取得した商品でも大きくアピールしています。特定保健用食品や機能性表示食品でない緑茶商品でも、「カテキン2倍」などとパッケージに書いてあるケースもあります。
大森さん そうですね。カテキンは、緑茶に多く含まれる、緑茶を代表する“健康成分”です。カテキンは、植物中に数千種類あるといわれる「ポリフェノール」の一種で、緑茶の渋みの主成分です。カテキンという言葉の語源は、インド産のアカシア・カチューという豆科の樹液からとれる“catechu(カテキュー)”に由来しています。緑茶に含まれるカテキンは、1929年に理化学研究所の辻村みちよ博士らによって初めてその存在が明らかにされました。ちょうど、ここにカテキンの結晶があるので食べてみませんか?

真っ白い結晶なんですね。うわ、苦い!渋い! とんでもなく苦いです。
大森さん そうでしょう(笑)。カテキン単独ではとても飲めたものではないのですが、緑茶に含まれる他の成分のいい香り、甘み、うまみが重なることによって独特のまろやかなおいしさが出るのです。カテキンそのものは白く、緑茶の鮮やかな緑はクロロフィル(葉緑素)によるものです。煎茶にはカテキンが多いのですが、ほうじ茶や番茶にはあまり含まれていません。
食後に濃い煎茶を飲むと、この苦みが口をさっぱりさせてくれるんですね。カテキンは、通常、茶葉乾燥重量の10~18%含まれ、春先に最初に摘む一番茶に比べて、二番茶、三番茶となるにつれて増加します。ただ、一番茶はうまみ成分であるテアニンが多いため、価格も高めとなります。玉露のように光が当たらないように覆われて栽培されるものは、カテキンの生成が抑えられて煎茶よりも少なくなります。ただ、その代わりにアミノ酸のテアニンが多くうまみが強い緑茶になります。
お茶と言えば、緑茶以外にウーロン茶や紅茶もありますが、やはり緑茶のほうがカテキン量が多いのですか?
大森さん カテキンは、とても酸化されやすい成分です。緑茶の場合、製造工程で蒸したり炒ったりという熱処理が行われることにより酸化酵素の働きが抑えられるので、ほとんど酸化しません。しかし、発酵させて作るウーロン茶や紅茶では、酸化酵素の作用がそのまま続くために、“重合”という作用が働いて、カテキンがテアフラビンといった成分に変化するのです。色も赤っぽい色になります。

ただ、それらのポリフェノールはカテキンと同じような抗酸化パワーを持っていますので、総合的に言うと緑茶、紅茶、ウーロン茶の活性は同じぐらいでしょう。ただ、いろいろな種類があるカテキンの中でも含有量が多く、生理活性が高いといわれる「エピガロカテキンガレート」は、発酵を止めて作られる緑茶に最も多く含まれます。
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- カテキンは“腸活”にも効果あり!