汗だくのシャツの下は高温多湿!“体カビ”の温床に
外回り後は着替えてマラセチア菌の増殖を防ごう
内藤綾子=医療ジャーナリスト
医療機関で治療すれば1~2カ月で改善
脂漏性皮膚炎や真菌症に詳しい帝京大学医学部附属溝口病院の清佳浩先生は、次のように解説する。「素人には、ニキビ(尋常性痤瘡)との区別がつきにくい。ニキビはアクネ菌が原因で、かゆみはなく、季節に関係なく1年中発症します。一方、体のマラセチア毛包炎は、汗をかいて皮脂の分泌が活発になったときに起こりやすい。たとえば海水浴で強い日焼けをして、たくさん汗をかいた1週間くらいあとに、症状が広がってきたときなどに疑われます」
ちなみに、滅多に見られないが、原因が同じマラセチア菌で、体にできる皮膚疾患に、癜風(でんぷう)がある。マラセチア毛包炎は、胞子型の菌が毛穴の中で炎症を引き起こすのに対し、癜風では毛穴から外に出た、形態変化(菌糸形)した菌によって広がっていく。癜風の症状は、体の表面がかさつく、茶色または白色に変色した湿疹ができる、かゆみや痛みなどはほとんどないといったもの。主に、胸や背中など汗や皮脂が出やすい体幹にみられるので、頭に入れておきたい。
清先生によると、マラセチア毛包炎は体質と多いに関係しているという。セルフチェックをしてみよう。
□ 胸、背中、肩、二の腕の後ろ側に赤いポツポツが広がっている |
□ 赤いポツポツがあり、軽いかゆみを伴う |
---|
□ 日ごろから厚着しているところに、赤いポツポツが出た |
□ たくさん汗をかいた1週間後くらいから、赤いポツポツが出た |
マラセチア毛包炎の心配があるなら、医療機関を受診してほしい。「医療機関で治療を受ければ、すぐに症状が軽快する」と清先生。「検査は、丘疹(ポツポツ)や膿がたまった皮疹をピンセットで採取し、染色液で染め出して顕微鏡で観察すると、健康な人の10~20倍以上のマラセチア菌が認められます」
治療には、マラセチア菌に効果があるイミダゾール系の抗真菌薬を用いる。治りにくい場合には同じく抗真菌薬のイトラコナゾールを内服する。たいていは1~2カ月ほどで症状が改善されるという。
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