汗だくのシャツの下は高温多湿!“体カビ”の温床に
外回り後は着替えてマラセチア菌の増殖を防ごう
内藤綾子=医療ジャーナリスト
ジメジメとした梅雨の時期になると、皮膚トラブルに悩む人が少なくない。そんなジメジメ期特有の肌トラブルの原因として、注目されているのが「カビ」だ。顔、頭、体の3回連載で、カビが原因の肌トラブルについて解説している。最終回では、体にできる皮膚トラブル、マラセチア毛包炎を取り上げる。体は常に衣服に包まれて、肌表面は高温多湿になりやすい。体のマラセチア毛包炎に悩んでいる人が、習慣づけたいセルフケアについても紹介する。
高温多湿で汗をかいた皮膚が衣服に覆われると……
汗の量が増えて体全体がベタつき始める時期、上半身に赤いポツポツができた経験はないだろうか。「あせも?」「体のニキビ?」と思うかもしれないが、マラセチア毛包炎の可能性が考えられる。
マラセチア毛包炎は、皮膚の表面にすみつくカビ(真菌)の一種であるマラセチア菌が大きく関係している。「肌にカビがいるなんて、すごく不潔!」と焦ることはない。誰の皮膚にもすみついている常在菌で、普通に生活している分には、肌を弱酸性に整えて、肌のコンディションを保つ働きをする“皮膚の味方”なのだ。
しかし、高温多湿の季節、皮膚から発散された汗を衣類で覆ってしまうと、皮脂をエサにするマラセチア菌が皮膚の上で繁殖しすぎることがある。たくさんのマラセチア菌が皮脂を分解してできた遊離脂肪酸が、酸化されて刺激性の強い過酸化脂質に変化し、マラセチア毛包炎を引き起こすと考えられている。
マラセチア毛包炎は胸や背中、肩、二の腕の外側に、単一の丸い形をした赤いポツポツが現れ、軽いかゆみを伴う。腰から下には見られないのも特徴だ。鏡などを使わないと確認が難しいかもしれない。
