日経グッデイ

ジメジメ期に大増殖!? オトコの顔・頭・体の肌トラブル

“顔ダニ”って知ってる? 皮脂をエサに増殖し、肌トラブルを引き起こす

最近話題の”顔ダニ”。家にいるダニとは全く異なる

 内藤綾子=医療ジャーナリスト

正常な皮膚でも200万匹の“顔ダニ”がいる

図1◎ “顔ダニ”とも呼ばれる「ニキビダニ」
(©Patrick Guenette-123rf)
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 このところ雑誌やテレビ番組の影響からか、“顔ダニ”という言葉をよく聞くようになった。この“顔ダニ”は、「ニキビダニ」や「毛包虫(もうほうちゅう)」(学名:Demodex)と呼ばれる原虫の仲間で、大きさは0.2~0.3mmほどだ(図1)。顔だけでも約200万匹がほとんどの人の皮膚の上に生息していて、ひとつの毛穴には5~6匹住んでいるという。顔ダニの治療に詳しい立川皮膚科クリニック院長の伊東秀記先生は、「“顔ダニ”は、普段であれば悪さをしない常在菌の仲間。むしろ皮脂の量のバランスを保つのに役立っています」と話す。

 “ダニ”と付くが、クッションや布団にいるイエダニやツメダニなどとは全く異なる。「よく勘違いされますが、高温多湿の時期に増殖するわけではありません」(伊東先生)。

 200万匹も生息していると、肌トラブルの多くが“顔ダニ”によるものと考えてしまいがちだが、これは皮膚トラブルの原因の一つに過ぎない。「皮膚のブツブツや赤み、かゆみがすべて“顔ダニ”によるものだと決めつけるのは早計」と伊東先生は警鐘を鳴らす。

顔ダニが増えすぎると治りにくいニキビやかゆみの原因に

 ちなみに、顔ダニが増えるとどのような皮膚トラブルに見舞われるのだろうか。

 顔ダニが過剰に増えると、さまざまなトラブルにつながる。例えば、顔ダニの死骸や抜け殻が毛穴に詰まることが原因で、難治性のニキビになったり、顔ダニ本体や死骸などに対するアレルギー反応によって、かゆみを引き起こしたりする

写真1◎ “顔ダニ”による治りにくいニキビ(写真提供:伊東先生)
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 顔ダニの治療は、原虫駆除に効果がある薬を内服すると10日ほどで、かゆみや発疹といったトラブルは改善していく。このとき、免疫を抑えるステロイドの外用薬を使うと、かえって症状が長引いたり、悪化することがあるので注意が必要だ。

 高温多湿は関係ないが、皮脂をエサとする“顔ダニ”を増やさないためには、皮脂の分泌を抑える生活がカギを握る。「特に脂っこい食事のとり過ぎは、皮脂が過剰に分泌される原因になります。これからの時期、ビールのつまみに、から揚げやフライドポテトなどは気を付けたいですね」(伊東先生)。汗をかいて汚れたまま、風呂も入らずにベッドへ直行!といった“不潔な生活習慣”が続かないようにしたい。

皮膚科医でも判断に迷うことも

 一方、皮膚科ならすぐに肌トラブルが“顔ダニ”によるものか、否か、判断がつくかといえばそうではない。なかなか「“顔ダニ”が原因」と突き止められなく「かゆい」という患者の訴えからステロイドを処方されていることも事実。「ニキビの治療に詳しくない医療機関で、効果を実感できない同じ抗生物質を処方され続けた患者さんもいました」(伊東先生)。誤った治療法によって、薬剤耐性のある菌が逆に増えてしまったり、症状が悪化する患者も多くいるそうだ。「不必要な治療に振り回されない意識も大切」と伊東先生はいう。

伊東 秀記(いとう ひでき)先生
医療法人社団 慈泰会 立川皮膚科クリニック院長
伊東 秀記(いとう ひでき)先生 東京慈恵会医科大学医学部卒業。国立感染症研究所感染病理部協力研究員を経て、2000年米国スタンフォード大学postdocutral fellowとなる。その後、社会保険大宮総合病院皮膚科医長、神奈川県立汐見台病院皮膚科医長、東京慈恵会医科大学皮膚科助教などを経て、2008年 立川皮膚科クリニックを開院。一般皮膚科、形成外科、美容皮膚科が専門。