“顔ダニ”って知ってる? 皮脂をエサに増殖し、肌トラブルを引き起こす
最近話題の”顔ダニ”。家にいるダニとは全く異なる
内藤綾子=医療ジャーナリスト
正常な皮膚でも200万匹の“顔ダニ”がいる
このところ雑誌やテレビ番組の影響からか、“顔ダニ”という言葉をよく聞くようになった。この“顔ダニ”は、「ニキビダニ」や「毛包虫(もうほうちゅう)」(学名:Demodex)と呼ばれる原虫の仲間で、大きさは0.2~0.3mmほどだ(図1)。顔だけでも約200万匹がほとんどの人の皮膚の上に生息していて、ひとつの毛穴には5~6匹住んでいるという。顔ダニの治療に詳しい立川皮膚科クリニック院長の伊東秀記先生は、「“顔ダニ”は、普段であれば悪さをしない常在菌の仲間。むしろ皮脂の量のバランスを保つのに役立っています」と話す。
“ダニ”と付くが、クッションや布団にいるイエダニやツメダニなどとは全く異なる。「よく勘違いされますが、高温多湿の時期に増殖するわけではありません」(伊東先生)。
200万匹も生息していると、肌トラブルの多くが“顔ダニ”によるものと考えてしまいがちだが、これは皮膚トラブルの原因の一つに過ぎない。「皮膚のブツブツや赤み、かゆみがすべて“顔ダニ”によるものだと決めつけるのは早計」と伊東先生は警鐘を鳴らす。
顔ダニが増えすぎると治りにくいニキビやかゆみの原因に
ちなみに、顔ダニが増えるとどのような皮膚トラブルに見舞われるのだろうか。
顔ダニが過剰に増えると、さまざまなトラブルにつながる。例えば、顔ダニの死骸や抜け殻が毛穴に詰まることが原因で、難治性のニキビになったり、顔ダニ本体や死骸などに対するアレルギー反応によって、かゆみを引き起こしたりする。
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