鎖骨から手足を繰り出す! 疲れ知らずの「ウォーク&ラン」
腕を振らない、足で蹴らない、体幹パワーをフル活用
北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト
古武術の技法をベースに、「骨」で体を動かす骨ストレッチ。筋肉に頼らない身体操作は、一般的な運動理論とは異なる独特のもの。これをウォーキングやランニングに取り入れると、脚の負担が軽くなって疲労やケガが減り、長い距離を楽にこなせるという。
全4回シリーズで、骨ストレッチの理論と、実際のやり方をお伝えしている。シェイプアップや不調解消に有効なメソッドを紹介した第1回「『骨で動く』1日5分のエクササイズで速攻シェイプアップ」、普段の動作が若々しくなる骨ストレッチを紹介した第2回「骨ストレッチで若々しい体のキレを取り戻す!」に続き、今回はウォーキングやランニングに役立つ骨ストレッチを紹介しよう。ウォーキングやランニングをすでに実践している人はもちろん、これからやってみたいと思っている人も、ぜひ参考にしてほしい。
あらかじめ、お伝えしておきたい。この記事には、一般に知られているウォーキングやランニングの常識とは異なる内容が書かれている。「本当?」と疑問を抱く人もいるだろうが、まずは疑問をいったん横に置き、「ものは試し」とトライしてほしい。実際に体を動かして、通常のやり方との違いを体感していただきたいのである。
やってみたうえで、それを取り入れるかどうかは、ご自身の判断である。でもきっと、これまでやってきたやり方にはなかった、新しい発見が得られるはずだ。
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「骨ストレッチ」は、「骨で動く」感覚を身に付けるエクササイズ。筋肉ではなく、骨を意識して体を動かすことで、よけいな力みが取れ、全身が滑らかに連動するようになる。
これまでの記事でもお伝えしたように、特に重要なのが「鎖骨」の動きだという。
「鎖骨は、胸の中心にある胸骨と、背中の肩甲骨をつなぐ骨。体幹の骨格の要といえます。鎖骨から体を動かすイメージを持つと、体幹が滑らかに動くのです」。骨ストレッチを考案した松村卓さんはこう話す。
これは、今回のテーマである「ウォーキング・ランニング」において、とりわけ大事だ。というのも、歩いたり走ったりするときは、つい「腕を振る」「足で地面を蹴る」などと、手足の方に意識が行きやすいためだ。
「腕や脚は、体幹の力が伝わって自然に動くもの。『振る』『蹴る』といった意識で頑張ってしまうと、腕や脚が力んで体の連動がうまくいかず、体幹の力を生かせません。それではすぐに疲れるし、故障も起きやすいのです」(松村さん)。
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