吉野家なのに肉がない!? 野菜たっぷりヘルシーメニューに潜む狙いとは
野菜の1日の必要量の半分を1杯の丼で! ケルセチンでさらにヘルシー
永浜敬子=ライター
「外食ばっかりじゃカラダに悪い」と言われたのは昔の話。消費者の健康意識の高まりや女性客の取り込みをねらって、「健康を意識したメニュー」を出す外食店が増えている。我々利用者側としても、家の外で“罪悪感なく”おいしいものを食べられるのはありがたい。特に注目なのが、多くの人がお世話になっている外食チェーン店の動きだ。今回紹介するのは、牛丼界のパイオニア「吉野家」だ。
牛丼チェーンで、野菜を摂る?
牛丼といえば、がっつり飯の代表格。健康志向とは一見縁がなさそうだが、実はさにあらず。例えば、牛丼チェーン最大手の「すき家」(ゼンショーホールディングス)は、牛丼のご飯の代わりに豆腐を使ったヘルシーメニュー「牛丼ライト」を2006年から販売している。カロリーは269kcalと同社の牛丼並盛(656kcal)の半分以下。低糖質(ロカボ、ローカーボ)がブームになるはるか昔から商品化しているのだ。
今回紹介する吉野家は、言わずとしれた牛丼界のパイオニア。「うまい、やすい、はやい」の“吉牛(よしぎゅう)”は学生時代からお世話になっている人も多いだろう。そんな吉野家が、2015年から“健康志向”に積極的に取り組んでいる。かつては「牛丼」単品で勝負していた吉野家だが、2000年代半ばから、カレーや定食などメニューを広げていることは多くの方がご存じではないかと思う。そして去年からは、健康メニューを続々と投入しているのだ。
その代表的な存在が、昨年5月に登場した11種類の野菜を使った「ベジ丼」だ。これは「健康かつ食べ応えのある商品」をコンセプトに開発された新商品。なんと吉野家なのに、“肉が一切入ってない温野菜だけの丼”だ。
これを皮切りに、その後も「豆腐ぶっかけ飯~鯛だし味~」や「麦とろ牛皿御膳」など、続々とヘルシーメニューが登場した。そして、今年春には「ベジ丼」がリニューアルし、カロリーをさらにカットして、ヘルシー度を増して再登場した。
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