オリンピック選手も実践する体を使った心理テクで、沈んだ気持ちを上向きに
“サイキングアップ”で気持ちを鼓舞して勝負に強くなる!
西門和美=フリーライター
前回は、プレッシャーやストレスに直面した際の、スポーツ選手が行っているリラックスの方法について紹介したが、緊張の表れ方は、人によっても場面によっても様々。ガチガチに固まってしまうこともあれば、気落ちして闘志がしぼんでしまうこともあるだろう。その時々の状況を見極め、的確にコントロールすることが重要だ。今回は一流のスポーツ選手が行っている、モチベーションを上げる“サイキングアップ”のテクニックを、東海大学体育学部教授の高妻容一さんに教えていただく。
体へのアプローチでモチベーションを高める“サイキングアップ”

「質の高いプレゼンをして熱意を伝えたい」。そう願うものの、本番を前にしてもモチベーションが上がらない。そんなときには、闘志を高めて興奮度を上げることを目的とした“サイキングアップ”が役に立つ。緊張を緩める“リラクセーション”とは逆方向のアプローチだ。
「スポーツも同じで、気持ちが乗らずテンションが低い状態もまた、パフォーマンスを低下させる。心がウキウキして意欲が湧いてくるようサイキングアップを行えば、良好なコンディションで能力を発揮できるようになります」と、東海大学体育学部教授の高妻容一さん。
また、心理的ウォーミングアップであるサイキングアップには、内発的なやる気や集中力を引き出す効果もあるという。
「“やらされている”という義務感ではなく“好き”“楽しい”“面白い”という前向きな気持ちで物事に取り組むとき、意欲や集中力は自然と高まる。サイキングアップによって気持ちが高まれば、心を集中させた良質なパフォーマンスが可能になります」(高妻さん)。
ここで紹介するサイキングアップのプログラムは、一人でもできるが周囲の人とともに行えばさらに効果が上がる。スポーツ選手ならばチームメイトなどとともに実践してみよう。
注意したいのは、前回紹介したリラクセーション同様、大事なプレゼンや試合の前に一度だけやればいいというものではない、ということ。毎日コツコツと実践してこそ成果を得られる、ということを忘れないでほしい。
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