実は地道な努力の賜物! オリンピック選手が実践する大一番で心を落ち着かせる方法
理想的なコンディションを保つための心のセルフコントロール術
西門和美=フリーライター
リラクセーションは毎日の積み重ねで鍛えられる力であって、
誰でもすぐにできる“魔法”ではない
「メンタルトレーニングは毎日実施するのが常識。本番で力を発揮する方法を、知識として知っていても、その知識を使いこなせなければ意味がありません。スポーツの技と同じく、毎日コツコツと積み上げて何年もかけて心理的スキルを身に着け、洗練させて試合で使えるようにしてくものです。毎日やるからこそ、メンタル面が強くなって、本番で役に立つのです。日本のスポーツ界は30年遅れでメンタルトレーニングを導入したため、指導者や選手、スポーツ関係者の中にも、いまだにこれさえやればいいというすぐに使える魔法があると勘違いしているようですが、一晩でできる魔法はあり得ません」
もちろん、5~10分で行うプログラムもないわけではないが、それは、初級編をじっくり実践して、心理的スキルが身に着いた選手(チーム)にのみ紹介しているものだという。
観る人が固唾をのむほどの緊迫したシーンで、一流のスポーツ選手たちが見せてくれる驚異の精神力は、才能でも、魔法でもなく、そのための地道なトレーニングを毎日コツコツと積み重ねた結果。本気でトレーニングを続けられる人だけが享受することのできる力だったというわけだ。
「仕事の商談やプレゼンのためだけに、何もここまでやらなくてもいい」と思うならやらなくてもいいが、逆に、プレッシャーに押しつぶされないように本気でメンタル面を強化したいと望む人には、取り組むだけの価値があるプログラムといえるだろう。
(イラスト:島内美和子)
東海大学体育学部教授

