オーラルケア、していますか? 歯周病放置で血糖値が悪化
宇津貴史=医学リポーター
2型糖尿病(以下「糖尿病」)と診断されたら、すぐに歯科も受診したい。歯周病をチェックするためだ。歯周病は決して、珍しい病気ではない。積極的な治療が必要となる歯周病に限っても、45歳から54歳の日本人では約3割、55歳から59歳では5割弱に認められる(厚生労働省:平成23年度歯科疾患実態調査)。糖尿病患者では歯周病となるリスクが高くなる。また逆に歯周病があると、糖尿病はさらに悪化する。まさに悪循環だ。
歯周病は糖尿病の合併症
「歯周病は現在、糖尿病における主要な合併症の一つと考えられるようになりました。糖尿病患者が歯周病を発症するリスクは、正常者に比べ約3倍も高いのです」。
こう語るのは、新潟大学歯学部教授の山崎和久氏だ。長年、歯周病と全身疾患の関係を研究してきた。
歯周病とは、歯を支えている組織に炎症が生じた状態だ。54歳以上が歯を失う最大の原因である(財団法人8020推進財団:平成17年永久歯の抜歯原因調査)。糖尿病患者では、この歯周病のリスクが増加するだけでなく、歯周病の程度もひどくなる。
一方、あまり知られていないかもしれないが、歯周病は糖尿病に悪影響を及ぼす。以下、見ていきたい。
歯周病そのものが血糖を上げている可能性も
糖尿病が歯周病を悪化させるのと同様、歯周病により糖尿病も悪化する。血糖コントロールが悪くなるのだ。多くのデータが報告されているが、一例として福岡県久山町のデータを紹介する。
すなわち、中~重度の歯周病患者は歯周病でない人に比べ、糖尿病予備群となる確率が、10年間で2~3倍も高くなっていた。
歯の周囲に関する病気だからと言って、口の中だけで終わる話ではないのだ。